『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』感想(長文) そのタイトルに恋をする


」なんですよね。「」じゃない。「が」でもいいんだけどしっくりこない。やっぱり「」だ。

 


すごく久しぶりに常軌を逸する長文感想文を書きたくなりました。
30,000文字くらいあります。漢字で書くと三万文字。頭おかしいですね。
あまりに長文なので冒頭に目次を書きます。収拾つかなくなってるので大見出しだけの目次と小見出しまでの目次の両方を作りました。

見出しが目立つように編集するつもりですので、興味があるところだけ読めばいい記事になるかと思います。

目次と本編に入る前に、感想を書く前提と、文章中での記述について一部を説明しておきます。

  • 書いてる人について
    かなり年をくった男性です。中身はガキです。オタクです。それなりに擦れてます。あんまり属性を晒したくはないのですが、たぶんこれくらいは書いておかないとフェアじゃない。
  • タイトルの記載について
    この作品のタイトル『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』は都度都度書くのに長すぎるので省略して書きます。公式では『着せ恋』ってなってますが、どうもしっくりこないので『ビスクドール』という記載にします。「ビスクドール」っていうのは一般名詞としての意味も持っている言葉なのですが、この作品について書くのにはその略称が今のところしっくりきてます。
  • 男性女性に言及する時の言葉について
    原則「男子」「女子」あるいは「男の子」「女の子」にします。この作品の感想を書く場合は「男」「女」「男性」「女性」という記述がなんとなくふさわしくないと思いました。


この感想を書き始めたのはアニメの3話を見て原作8巻までを手に入れたタイミングでした。原作を読みながら感想を書き進めました。
書き終わったらすぐにネットに上げようと思ったんですが、アニメしか見てない人には意味不明になるなと思いなおし、暫定最終回(この言葉を使ったのは10年ぶりくらいか)というか、プロローグとなる最初のエピソードが終わるまでというか、ラノベで言うと1巻終わったところというかってところまでは待ってからネットに上げることにしました。

アニメは現在5話で原作では2巻くらいまでの内容です。一番重要なところはアニメでも描かれてるとは言え、原作未読の人には申し訳ないですが、原作8巻までの範囲でのネタバレを含んでしまっている感想文となります。

アニメが気に入ったのなら原作を読んで損した気持ちになる人は少ないんじゃないかと思います。アニメが気に入っていてまだ原作に触れてない人がいたら、紙でも電子でもいいので早急に入手して読んでみることを強くお勧めします。

 

目次(大見出)

  1. 感想をネットに書くということについて
  2. ビスクドール』に出合うきっかけと第一印象、感想を書くに至った経緯
  3. 作品の分析と全体的な感想
  4. 設定や要素についての感想/検証
  5. まとめ そしてこの作品のタイトルについて再考
  6. 蛇足 妄想最終回

 

目次(小見出)

     1.感想をネットに書くということについて

     2.ビスクドール』に出合うきっかけと第一印象、感想を書くに至った経緯

   ・アニメを見始めたきっかけ

   ・アニメを見はじめてからの反応

   ・原作にまで手を出す経緯

     3.作品の分析と全体的な感想

   ・この作品の基本骨格

   ・ラブコメビスクドール』に欠けている要素

   ・「ギャップ」について

  4.設定や要素についての感想/検証

   ・海外で人気が出そうな作品
   ・コスプレ趣味漫画という要素

   ・ひな人形

   ・どこ住み?

   ・性差、価値観の差

   ・容姿

   ・まりんがかわいすぎてつらい

   ・アニメがすごくいい

   ・あの1枚絵

  5.まとめ そしてこの作品のタイトルについて再考

  6.蛇足 妄想最終回

 

 

では、感想本編を始めます。

 

『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』感想 そのタイトルに恋をする

 

1.感想をネットに書くということについて

ネットに小説や漫画やアニメの感想を書くというのはかれこれ15年くらい前からやってます。感想を書くにあたっては自分なりの基準があります。

それは、原則として気に入った作品の感想だけを書く、ということです。

極めて少数、需要がありそうだからという不純な理由で自分には合わなかったけど感想を書いた作品もありますが、そういうのはどんなにその作品自体の需要が高かったり評価が高かったりしても読みに来る人は比較的少なかったですね。

ネットの検索エンジンに感情とか審美眼があるとか妄想しているわけじゃないのでほんと不思議なんですが、熱が入った感想文っていうのは熱が入っていない感想文に比べるとはるかに多くの人が読みに来ます。

さて、気に入った作品の感想を書くといいつつも、その中でも、なんとなくですが自分なりのレベル感があります。

レベル0:リアルで「これいいねぇ」みたいな話をする。
 ここに大きな壁 レベル1以降がネットに感想を書いてます
レベル1:ネットに感想を1回書く
レベル2:ネットに長文感想を1回書く
レベル3:ネットに感想を何度か書く
レベル4:ネットに常軌を逸する長文感想を1回書く
レベル5:ネットに長文感想を何度も書く
レベル6:ネットにコンテンツに触れるたびに(書籍雑誌だったら読んだ後、アニメだったら見た後)感想を書く
レベル7:ネットにコンテンツに触れるたびに長文感想を書く
 たぶんもう2度と越えられない壁
レベル8:ネットにコンテンツに触れるたびに常軌を逸する感想を書く

現状ではこの作品はレベル4から6になってますね。感想書きたくてしょうがないし書きたいことが多すぎてしょうがない。

この先、もしかするとレベル7までは行くかもしれない。そのくらいハマってます。

ただ、レベル8に行くことはたぶん無いです。よっぽどのことが無ければそこまで行くことはないです。この作品以外でもこの先もうないと思います。あったらそれはうれしいことなんだけどたぶん無いと思います。

 

2.『ビスクドール』に出合うきっかけと第一印象、感想を書くに至った経緯

 ・アニメを見始めたきっかけ

大きな意味で言うと在宅勤務、かこよくいうとテレワークがきっかけですね。それが無かったらこの作品に出合うことはありませんでした。
在宅勤務が始まってから通勤時間分の時間が丸々余って、家で暇することが増えてるんで、毎期深夜アニメを適当に数本録画してみてるんです。テレビはスポーツかニュースを見ることが多くて、両方あんまり見ないけどドラマよりはアニメの方が好き。アニメ大好きってわけじゃないので途中で見つけてなんとなくっていうのもけっこうあるし録画だけしてみてないなんていうのもある。1話だけ録画してないとか。後半数話とか。いいかげんですw
去年の夏にはなんとなく『ゆるキャン△2』を録画してて見てハマったりしてたんですよ。5話から録画したのに。だから主人公が誰なのか勘違いしたりしてました。その程度の視聴者です。
2022年1月から始まるアニメも数本録画予約していて、そのうち1本が『ビスクドール』でした。

前提にも書いたように俺はいわゆるオタクですけど、漫画やアニメやゲームよりも鉄道とか地図とかのオタクなんでアニメには疎いです。よく会う友だちと話してても漫画やアニメの話題ではリードできません。みんな詳しいんで……。
話がそれましたがこんな感じでこの後もそれまくるので気にしないことにして話を戻すと、どのアニメを見るかって決めるときに、ネットで前評判がいいとか原作の評価が高いとかそういうのはあんまりというか全然気にしてないです。というか見てないです。レコーダーの番組表を適当に眺めて、なんか面白そうだなぁと思うタイトルのがあったら録画してます。あとは名前は聞いたことがあるやつの2期以降とか、アニメとか漫画、ラノベが好きな友だちから教えてもらって見るパターンがあります。『ゆるキャン△』は友だちに聞いてからだったかなぁ。ラフェスタフォレスター出てるぞーって。確か車つながりだったな。
ビスクドール』はタイトル見てなんとなく録画をし始めた作品です。番組表を見るまでそういう作品があるっていう存在すら知らなかったし、実際に1話を見るまではどんな話かも知らなかった。
ただ、番組表を見ててタイトルに違和感があったんです。

 

『その着せ替え人形(ビスク・ドール)「は」恋をする』

 

そのタイトルに違和感があった。
」なんですよね。「に」じゃない。着せ替え人形っていうからコスプレとかの話なのかなぁとなんとなく想像したんですが、男子目線でだったら「に」になるんだよなぁと。女子向けなのかなぁ、ただ女子向けってたまーに見入っちゃうのもあるからみてみようかなぁと。いやいやこの時代だから男子がコスプレする話でもおかしくない、なんて。一部合ってましたね。偶然です。
とにかく、まさか自分がハマることになるとは思いもしないで適当な気持ちで録画を始めました。

 ・実際にアニメを見はじめてからの反応

とりあえず1話を見ました。せっかく録画したし。もったいないから。気に入らなかったら録画やめて削除すればいいんだし。土曜日放送だけど日曜日は録画してること自体忘れてて月曜の在宅業務後に見たんだと思う。

前半:「は」?なんで「は」?美少女とさえない男子だからいかにも男子向け設定だよねぇ。オープニング見ると女の子がコスプレする話か。美少女とは言っても俺が好きなタイプじゃないな。今はこういう子が流行りなの?
それにこれって、やっぱり「に」じゃないの?この子がこの男好きになるって無理があるんじゃね?。それにしてもひな人形とかまた面白い設定だねぇ。岩槻だろうな。アニメとコスプレで町おこしwとかするんかいな?ひな人形懐かしいなぁ。うちでもなんか部品作ってたなぁ。
後半:ああ、なるほど……。そういうつながりかぁ。ってことはやっぱりこの子が?それとも別の意味があるの?。ここからどう転って「は」になるんだろうねぇ?やっぱありがちな地味な男子の妄想系?

男子が大好きなエッチなシーンもあるし、いわゆるオタク層が好きそうな設定だし、話が面白いし2話以降も見てみるかっていう感想でした。
アニメのことはよくわかんないんだけど、オープニングエンディングの曲と映像もすごくいい感じでした。当時はそこまで考えなかったけど、これ、2期やるスタッフの人がプレッシャー感じるんじゃないかなぁ。同じ人がやる場合でもけっこう緊張するんじゃないか?ちょっと外しただけで劣化とか言われちゃうわけなんで。

そんな感じでそこそこ面白かったんで、翌週にも2話を見ました。2話は日曜に見たような。若干楽しみにしてたってことです。それでもリアルタイムには見て無いです。土曜の夜、夜更かしはつらい。
津波注意報がうざかったです。でも大事な情報。トンガの破局噴火、他人事じゃない。九州の火山が本気出したりしたらすごいことになるらしい、なんてことを思いつつも見ていたら、またエッチなシーンも多々あって男子向けだなぁと思ったんですが、やっぱりタイトルにすごく違和感あるよなぁ。
この違和感を持つっていうのが「ハマる作品」の条件になってるみたいなんですよね。俺の場合は。
見ていて単純に面白いと思ったり好きだと思ったりする作品にはそんなにハマらない。なにか違和感があると深くハマります。

その理由は、違和感があるとその答えを見つけたくなるからです。

今の時代は本当に楽で、ネット検索すればいいわけですよ。一番お手軽なのはWikipedia。漫画やアニメの記事はもうほんと無駄に充実しています。大概答えが見つかる。
ネタバレは嫌っていう人は見ないだろうけど俺はけっこう平気なたちなので見ちゃいます。

 ・原作にまで手を出す経緯

というわけでネット検索して漫画の方の設定とかあらすじとかを見ちゃいました。なるほどぉと。違和感とりあえず解消。
そっかぁ。「」、なんだぁ。「は」じゃなきゃいけないんだ。着せ替え人形「は」恋をするんだぁ。
っていうかよく考えると、この『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』タイトルすごくね?日本語ネイティブに生まれてよかったってやつだろう。趣深いなぁ。そっかぁ。どうしようかなぁ。面白そうだから原作買おうかなぁ。どうしようかなぁ。

と思ったところでちょうど予約していたスキー旅行に有休使って行くタイミングになりました。コロナのご時世っていうのもあるんで1人です。ソロです。そうするとね、熟考できちゃうんですね。
スキースノボって実際に滑ってる時間がすごく少ないスポーツで、往復の行程はもちろん(運転中は考え事するとやばいけど)、リフトに乗ってる間とか、行動が終わるのも普段より早いから寝る前とか、時間がたっぷりあるんです。
ビスクドール』っていう作品はたぶん俺に向いてる、たぶん合う。めっちゃ合う。そんでハマる要素がたくさんありそう。さてどうするかと。
でまぁ、既刊が8巻も出ているということで重そうだしわざわざ店に行くのも面倒だから嫌いだけど通販で買うかぁ、と結論付けました。旅先のスマホからでも注文できるけど、家にいない間に光速で来たらやだし自宅に帰ってから注文するかと。そんでも週末にはもしかしたら読めるかもなぁ。

原作を買うことに決めてスキーから帰ってきて早速ネット注文をしようとしたんですが、歯抜けで在庫切れ!
どういうこと?ネット通販でもそんなことあるの?アニメ放送開始直後だからそんなに在庫が無くて売り切れちゃったか。でもまぁヨドバシだからしょうがないかぁ、本が専門じゃないしなぁと。通販に限らず俺はヨドバシに子供のころから囲い込まれてしまっています。みんな中央高速バスが悪い。
習慣性がつくとやばいからあんまり使わないようにしてるんだけど、いちいち店行くの面倒だからアマゾンでいっかぁ、と思ったら……、アマゾンでも紙版は歯抜けで在庫切れ!
まじかぁ。ってことは俺と同じでアニメ見て原作に手を出そうとしている人が提供側の予想以上に多いってこと?営業担当者とか仕入れ担当者は理不尽に責められたりしてるの?

手に入らないと思うと無性に欲しくなってしまうのがオタク的マインドを持つ人間の性ですw
限定版とか残○個とかにめっちゃ弱いです。現品処分って書いてあるからうっかり買ったら翌日同じ商品がさらに安く現品処分されるてるのを見て落ち込んだりもします。最近はネット通販主流だからそういう商売をしてる店も減ったかもね。
とりあえずはヨドバシで歯抜けだけど売ってる分だけ注文して確保しておいて、休日に神保町に行くことにします。漫画に限らず本についていえば神保町になければ世の中にないと思って諦めることができます。東京近郊に住んでると手間さえ惜しまなければ実店舗で買うことができるから楽ですよねぇ。ネット通販より実店舗購入の方がずっと好きです。

さすが神保町。行ったらありました。別に神保町じゃなくてもリアル店舗にはまだまだ在庫が残ってただけなような気がします。最初に漫画には強くない三省堂をみたらあったんで速攻買って、そのあと用事もあったから他の本屋は行かなかった。漫画とかにも強いグランデだったらどうだったんだろうなぁ。意外と専門性が高くない書店の方が残ってたりすることあるんですよ。角っこの普通の本屋さんに大きい書店では売り切れの本があったりします。ここになければ完全に諦める店だった高岡閉店という情報を前の週にもらってショックを受けたことを思い出したり。
とにもかくにも店頭に出てるのはラス1の巻もあったけど全巻そろった。三省堂で在庫切れさせちゃったかとも思ったけど、あのへんの本屋は店頭で品切れしててもバックヤードに大量在庫ってよくあることなのであまり罪悪感は無いです。えっと、全巻買った?ヨドバシで買ったのは?重複上等ですw相変わらずオタクだなぁ。
手に取って改めて思ったけど、作者さんやファンの人には申し訳ないんですが、表紙の絵柄は好みじゃないんですよね。もしアニメ見て無かったらどんなうっかりがあっても買わなかったと思う。嘘です。漫画自体めったに買わないんで絵柄関係なく買うことはなかったでしょう。とにかく、俺は絵じゃなくて物語の方でこの作品につかまったってことで。

家に帰ってきてもすぐには開封せず翌日から読み始めました。すぐに読みたいほどってことではなかったです。翌日読んだ。その合間にアニメ3話も見た。
あー、これ、やばいわ。感想書かなきゃ……。感想書き終わるまで落ち着かない。やばっ、これ相当長くなるぞ。1日じゃ全然書けない……。1週間でも無理かも。ああ、またやっちゃうんだ。長文感想……。俺は何も成長してねぇな……。

こんな非常識な長文感想を書くに至った理由はいくつかあります。一番でかいのはここまで書いてきたように個人的にハマったことですけど、もう1つ、この『ビスクドール』って作品は露出(肌の、じゃなくてメディアとかの意味)が増えれば、いわゆるオタク層以外の一般人にもものすごく人気が出ちゃうかもしれないと思ったっていうのもあります。男子女子問わずです。
その理由についてもこの感想文の中で書いてみるつもりです。本当に書くのかな?

ここまでがこの作品の感想を書くまでの経緯です。無駄なパートだけど書きたかったから書いた。後悔するかもしれないけどそれでかまわん。だって書きたかったから。

 

3.作品の分析と全体的な感想

 ・この作品の基本骨格

俺が今のところで理解しているこの作品の基本骨格を1行でまとめるとこうなります。

とらドラ!』+『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』+『うる星やつら』+『めぞん一刻

いろんな人に怒られそうだけど俺がそう思ったんだからしょうがない。
俺が感想文を書く時のポリシーに、感想の対象となる作品以外には言及することを避ける、っていうのがあるんですよ。その理由は、感想の対象となる作品は読んだことあっても、引き合いに出された作品は読んだことがないっていう人がきっとたくさんいるからです。
でも、久しぶりに長文感想を書くからなーんか書きづらいし、たぶん他作品を引き合いに出した方がわかりやすいように思うし、もし未読の人がいたら引き合いに出した作品も合う可能性があるんじゃないかと思ってこの感想文では言及します。何も引き合いに出さない感想を書くのってめっちゃ難しいっていうのが一番大きいな。ブランクがあるんでね。
上にも書いたようにそんなにたくさんの漫画やアニメに触れてるわけではないので、あくまでも自分が知っていて気に入ってる作品を引き合いに出してます。もしかしたらもっと適切な作品があって、その作品を俺が知らないか、俺がその作品の良さがわかってないっていう可能性もありますのでご了承ください。

では話を始めましょう。とにかくね、この『ビスクドール』って作品の骨格は『とらドラ!』だって思ったんですよ。この物語、本質的には女子向け。それが8巻まで読んだ俺の第一印象。男の子がね、理想的すぎる。
あっ、書くの忘れてた。
公式の情報とかじゃなくて俺の感覚としてはビスクドール』はダブル主人公かなって思ってます。五条君もまりんも主人公で、かつヒロイン。読者・視聴者はどっちに感情移入するかによって違う楽しみ方ができる作品じゃないかと思ってます。
もう1点。
この感想文ではその主人公2人以外にはほとんど言及しないと思います。それだけで十分に感想書けちゃうんですよ。逆に他のキャラにまで本格的に手を広げると収拾つかなくなります。ほかのキャラが好きな人ごめんなさい。
そして、この文中での主人公2人の呼び方ですが、五条新菜は「五条君」喜多川海夢は「まりん」にします。バランス考えれば女の子は「喜多川さん」がいいと思うんですが、なんとなく喜多川さんって呼んでいいのは五条君だけな気がしてますw

話を戻します。

まりん主体に見ると、自分ではできないことが上手に出来て、その上自分に親身になってくれる男の子に女の子が出会うガールミーツボーイの物語ってやつなんじゃないかなって思ってます。読んだり見たりしたことがある人はピンとくると思いますけど、その部分がまんま『とらドラ!』です。話の筋立てやら他の要素は全然違いますけど。
逆に五条君主体で見れば自分のトラウマを克服させてくれ、自分を理解してくれるパートナーに偶然出会った物語ってことになりそうです。
とらドラ!』っぽいところはほかにもあります。言葉遣いとか行動とかは今風だけど、五条君とまりんの同級生たちがなんだかもう見てて恥ずかしいくらい若々しくってね。青春しちゃってるねぇとおじさんは言いたくなっちゃいますw。文化祭とかさぁ。うわー見てて恥ずかしい!って感じじゃないですか。誰に同意を求めてるんだw
余談だけど、俺ね、『とらドラ!』読むまでは女子向けの恋愛ものは俺には感覚的にわからねぇ、合わねぇ、と思ってたんですよね。
あの作品を読んで、あれ?意外と俺ってそういうのも好きなの?って思いました。食わず嫌いしていただけなのか、あるいは年を重ねて理解できるようになってきたのか……。

さらなる共通点としては、家事ができる男子に女子が胃袋わしづかみにされるってところですね。

女子が男子に胃袋わしづかみにされるっていう設定は女子にとっては普遍的な憧れるシチュエーションなんでしょうか?

そういうことができる男子ももちろん実在しますけど実際にはできない人が多い……。
まりんの場合は、コスプレ衣装というイレギュラーなものではありますが、衣食住のうち衣と食で五条君に依存とまではいかなくてもめちゃくちゃ頼ってますよねぇ。頼られるような男子になるのは自分には無理なんでそういう面では完全なファンタジー作品です。
風邪をひいて寝込んでたら嘘ついて早引けして看病してくれる上にご飯作ってくれるなんてさぁ。そりゃもっともっと好きになっちゃうよね。もともと大好きだったんだから。

話を戻すと、この作品を女子目線から見ると「あー、男子でもこういうの好きな人いるんだぁ。まっエッチなシーンもあるしねぇ。そんでオタクは好きそうww」的に思われる可能性もあるんじゃないかと思ってます。
また、男子向けに見えて女子向けっていう作品の持つ二面性に知らず知らずのうちにうっかり引っかかっちゃう人がいるでしょうね。


そのまりんが桐乃に見えたのはきっと俺だけじゃないはずだ。アニメは声も似てる気がする。などと書くと両方の声優さんのファンから袋叩きされそうだが……。
女子の方がオタク趣味で男子は非オタ。男の子の方が女の子を理解してあげて……みたいな筋立てはそれ自体がすでにファンタジーなんでしょうけどw
ところが『俺の妹』と『ビスクドール』でのオタク趣味の取り扱いが全然違ってて興味深いです。
単純に物語が展開する架空の世界の設定がそうなってるだけっていう考え方もできますけど、その2作品の発表されたタイミングの違い、約10年っていう年月の経過によるものなのかもしれません。
その趣味を共有しない友だちにも、オタク趣味を隠すことなくストレスも感じずに仲良くできるっていう設定が、ほんのちょっとであってもリアリティを持つようになったということなのかなぁと深読みしたくなりました。
話の筋立てとしては『俺の妹』はあまり共通点を感じていなくて、まりんのキャラ設定と作品人気の下地部分、つまりオタク層への浸透という部分で共通性があるなぁと思ってます。後述しますが『ビスクドール』の方は五条君が美少女連中にもてまくるっていう感じでもないですしね。気に入られてはいるみたいだけど。


続いて『うる星やつら』の話ですが、これはまさにこれ、『その着せ替え人形(ビスク・ドール)「は」恋をする』ですね。女子が男子に恋をするというのもあるし、おそらくはこの物語の終了条件はあの漫画と同じなんだろうなぁと思ってます。あの漫画では最後の最後までその終了条件を満たさないで、もっと強烈なラストになりました。
ただ、終了条件はただの条件であって、その場面が描かれたら最終回になるっていうことではないと思ってます。そのことは後でまた言及します。
普通、あるいは普通以下の男子に、その男子にはとても釣り合うとは思えない女子が惚れるっていうのはおそらく洋の東西古今東西問わずに、男子には普遍的に人気がある筋立てなんだろうなと思います。俺はこの年になっても好きだよ。リアルでは言えんけどw。


最後に『めぞん一刻』。まりんのキャラ設定に衝撃を受けました。
自分も好きなだけに、引き合いに出すと怒られる度がめちゃめちゃ高いということははわかるんですが、そう思ったんだからしょうがない。
音無響子さん以来の衝撃ですw
ギャップなんですよ、ギャップ。結局この作品に俺がハマったのはギャップ萌えなんだと思います。ギャルでモデルもやったりしてるのにオタク、しかも漢気がある。そしてこれはもしかしたら最近の作品のトレンドになっているのかもしれないけれど、おいしそうによく食べるw。なでしこを思い出したよ。あそこまで突き抜けてはないけどさ。

未亡人がヒロインっていうあのギャップ以来の衝撃かも。というかギャップの数だったらそれ以上かも。

人との距離感が近いっていうのと(1話で墨がついた五条君の腕を自然に触るとか)、羞恥心の基準がちょいとずれてるっていうのがあって、意識的にも無意識でも五条君を手玉に取る大胆な女の子なのに、ふとしたところで乙女っぽさが出てしまうっていうのがね。おじさんめろめろですわw男子の妄想爆発しちゃいますよw

そして『ビスクドール』の場合は、まりん以外にもギャップがありますよね。
五条君のギャップ。
ひな人形が大好きだけどそのことを他人に言うことがトラウマになっていて誰とも関係を持たないようにしている存在感も薄い内気な男の子が、いざとなると真剣な顔で職人的な能力を発揮するというギャップ。まりんはこのギャップにもやられたんだろうなって納得しちゃうのは男子目線でしょうか?女子の感覚だとどうなんだろうなぁ。

考えてみるとまりんは五条君からは直接的に好意をほのめかされていないんですよね。かわいそうかも。まりんは何度もほのめかしてるしもっと直接的なこともしてるけど、五条君は内気男子だから、からかわれてるとしか思わないという設定になってます。いい加減気づけよ!と。
かなり高レベルのイライラ系ラブコメですねw。そういうものだからしょうがないしそういうのが好きな人が好きになる作品じゃないかと思う。
この作品は主人公2人、両方にギャップがあるから面白いんですよね。
ギャップの話はこの後も出てきます。

こんな感じで俺が今まで読んだことがあるラブコメの要素がいろいろ詰め込まれています。それだけだったら面白く楽しめる作品にはなるんですが、ハマる作品にはならないです。ハマった要素はいろいろあって、それをつらつら書き連ねていきます。


 ・ラブコメビスクドール』に欠けている要素

と、ここまで過去のラブコメばっかりを引き合いに出して感想を書いてきたんですが、『ビスクドール』って作品の面白いところは、ほとんどのラブコメには用意されているとある要素が非常に薄い、あると感じる人もいるかもしれないですけど俺から見ると現時点では存在してない要素があります。

それは、恋のライバル。

男子向けなのか女子向けなのかに関わらず、恋愛ものってなんのかんので少なくともどっちかには強力なライバルキャラが出てくることがほとんどだと思うんですよ。
引き合いに出した作品の中では『うる星やつら』が例外だけど、あれはもうラムからすると全女性がライバルというわけのわからない状態だったので……。
そういえば最初の頃はしのぶがライバル役だった。すまんすっかり忘れてたよ。因幡君がんばれ。確かにバニーガール衣装はすべてを教えてくれるのかもしれん。
横道にそれたけど『ビスクドール』には今後そういうキャラが出てくるんでしょうか?
それを考えるために、なんでここまでのところで強烈なライバルが登場していないのかっていうことを考えてみますね。

その原因は五条君のキャラクターだと思います。彼はだんだんと社交的にはなっていきます。しかし、物語で描かれるのは学校かコスプレ関係者、そして自宅だけです。学校の友だちやコスプレ関係者は五条君とまりんを見てどう思うか。「はいはい……」なんだろうなぁと。2人の間に入り込む余地がないというか2人を見てるとバカらしくなるってところなんじゃないの?バカップル見てる感じ。
王道的なイライラ系ラブコメなんですけど、2人の間に隙間ができても入り込むのがバカらしいと思っちゃうくらい関係性が深いということが、2人のことをともに知ってる人からはわかっちゃうってことなのかなって思ってます。

まりんは学校とコスプレ関係以外にもバイトとかで多くの世界を持っています。そっちで言い寄ってくる人が出てくる展開はあり得ますよね。でも、ここでまたこの話がでる。
「は」なんですよ、「は」。
恋をしてるのはまりんの方なので、言い寄られてもそう簡単にはなびかない。恋をしてるのが五条君で、作品タイトルが「に」だったら、ライバルが登場する展開は山ほどありそうですよね。でも、もしもまりんがよさげな男と仲良くしてたら五条君は身を引いちゃいそうなキャラなんで、話がバッドエンドで終わっちゃうような気がしますw。
作中ではまりんが五条君にベタぼれなんですよね。もしまりんが五条君にやきもち焼かせようとしても五条君があれだからなぁ。ラブコメ展開になりづらいんだよなぁ。まりんがやきもち焼いてくれるかと思ったら五条君が引いちゃって逆にやきもきさせられるとかかなぁ。ちょっとまりんがかわいそすぎるかも。

五条君に言い寄ってくる女の子が出てくるっていうのが一番ありがちな展開ですけど、今後出てくるのかっていうとなかなか難しいですねぇ。ちょっとやそっとじゃまりんに目で秒殺されて終わっちゃうような気がします。

8巻まで出てきたキャラの中だとコスプレ姉妹とまりんの学校でのお友だちはちょっと怪しいですかねぇ。

でもね、まずはコスプレ姉妹から行きますけど、まず妹は、作品中で唯一五条君に本心聞かされちゃう、もしライバルになるとしたらちょっとじゃなくてめちゃくちゃかわいそうな役回りからスタートなんですよね。
姉の方はエッチなエピソードもあって意識はしてるんだろうけど「あなた達付き合ってるの?」ではなく「あなた達付き合ってるんでしょ?」なんですよね。あの時点で決めてかかってるってことは、五条君とまりんの間には入り込めない何かが存在しているっていうことを意識しちゃってるんじゃないかなと。
姉の子が五条君への恋心をこじらせるっていう展開もありえるだろうし、それはそれで読んでみたいですけど、まりんがライバル視してやきもちを焼きまくるようなところまで行くかというと難しいのかなぁ。今の段階では2人だけの秘密になっているエッチなエピソードを対抗手段として打ち明けても、ブチ切れたまりんがさらに対抗してそれを越える過激な行動をとるだけのような気がします。男子読者には大サービスですw
それに、まりんは諦めない女の子なんで、大好きな五条君も大好きなジュジュさまも諦めないっていう道を貫くような超展開になっちゃうかもしれない。それも見てみたいけど収拾つくのかな。
姉は五条君のことを恋愛対象というよりも天才的な職人として認識してるのかもしれません。そっちの意味でいつも服を作ってもらってるまりんにやきもちを焼いて、それをうけたまりんがやきもきするみたいな展開はあるかもしれないですね。
妹の子に対しては、五条君から2人だけで衣装を作ったと聞いてまりんが闇落ちしそうにはなってましたけど、五条君の方が胸のでかさ以外では女として意識してないですよね。

コスプレ姉妹はどうも2人とも五条君からすると低めのボール球でストライクゾーンには入ってないようですね。
妹は年齢、姉は見た目で。
妹ちゃんが成長すればストライクゾーンに入って意識するようになるかもしれないけど、成長したら五条君が独り言のように話してたことが何を意味してるのかわかっちゃう気もするしなぁ。五条君のこと好きになったらかわいそうな展開だなぁ。この先割って入るのはかなりの力技が必要です。

もともとの予定ではあの姉妹の両方かどっちかかが五条君を本気で好きになってまりんと戦うっていう設定だったのかもしれませんが、読者の人気とか話の流れとかでそうならなかっただけなのかもしれません。バカップルぶりが人気になってるとか。読んでて楽しいからありえそうな話。
でもこの姉妹キャラはこの先また出てくるんだろうなきっと。この作品、ラブコメ以外の要素がありますからね。それは後述します。後述するまでもありませんが……

もう一人、学校でのお友だちは「付き合ってんの?」と探りを入れる言葉で聞いてますけど、どうも五条君のことを男としては意識してないように思えますね。ときどき見つめているのは気になりますが……
例によって妄想展開で恐縮ではありますが、あの子、まりんのことを見ているうちに、実はコスプレに興味を持ち始めてて、そのうち五条君に衣装を作ってもらおうとしてたりして。
その過程で五条君がやらないにしても自分も採寸されてみて、「まりんってゴスロリの衣装作った時五条君に採寸してもらったんだよね?めっちゃエロくね?」みたいなことをナチュラルに言ったらまりんが予想外の赤面みたいな展開があったりして。
まりんの衣装を五条君が作ってるってことを知る前から見てるから違うとは思うんだけど。
なお、この子については別の予想もあるというのは承知しているので後述します。

明確なライバルなしに8巻まで来てるイライラ系ラブコメだと割と飽きることが多いと思うんですが、それでも面白いと思わせる何かがこの作品にはあります。


 ・「ギャップ」について

恋愛模様と上でも書いたギャップの話で書いたことの繰り返しにはなってしまいますけど、まりんのギャップが萌えますね。

いつもは大胆で即行動をするまりんなのに、五条君には直接は好きと言えない。言うことを怖がってるのかもしれない。だめだったら「わかったー」って言って次に行っちゃいそうなのに。そういう言葉遣いはしないか。なんせギャル語もオタク語も若者語もわからないのでこの漫画で勉強してます。というか強制的に勉強させられてる。10年くらい練習すれば使えるようになるのでしょうか?
年齢の割には若者とフラットな関係でしゃべる機会は多めではあるんですが、時々何言ってるかわかんねぇってことはやっぱあります。あっ、犯罪臭を感じた人がいたらそういうことじゃないですからね。わざわざ言うところが怪しいって?

普段は大胆で物おじしない女の子が、好きな人に気持ちを伝えられないっていうのは無理があるといってもいいレベルのギャップですよね。それが男子的にはツボに刺さるように思えます。俺のツボには刺さりましたw
この子、かわいいって思ってしまう。
五条君、逆にすごいわーって思っちゃう。
五条君もそういうところではぶれないよな。誰に対しても内気。自分に自信が持てない。ただ、「仕事」をするときには大胆にもなれる。その五条君のギャップもいい。もともとっていうのもあるのかもしれないけどまりんに鍛えられて。散々からかわれてるから。採寸とか。
余談ですが、採寸の時の「どーこだ?」は男子心をかき乱されましたwひでぇ女wいいぞもっとやれw
その場面は漫画原作じゃなくて色付きで動いてるアニメで最初に見ちゃったからねぇ、あれを。
あの頃はまだ内気で純情な五条君をもてあそんで楽しむような感じだったんでしょうかね。
さらに余談で、しかも言葉を選ばないと18禁コンテンツ指定されそうなことも書いちゃいますけど、その採寸の時、バストとか足を測られる時には余裕をかましてたまりんが股下の計測で恥ずかしくなっちゃうっていうのは女子的には納得なんでしょうか?なんかアニメと漫画で描写が違うようにも思えたんだけど、どっちかは納得できてどっちかは納得できないみたいなのはあるんでしょうか。それとも個人差?
あの場面が描かれたのは、まりんっていう羞恥心がずれ気味の女の子っていうのを表現しつつもかわいさを描きたかったからなのか、普遍的な女子の感覚を描いているのかっていうのは男子的には全くわからないです。聞いても本当のことを教えてもらえるとは限らないし、聞く相手を間違えるといろいろ終わります。
いずれにしても、採寸の時のあの豹変もいいギャップですねぇ。耳まで真っ赤だもんな。
とにかくこの採寸の話はひどい。ひどすぎる。いい意味でひどい。中学生とか高校生の頃読まなくて本当に良かったと思うくらいひどい。男子のもてあそばれ感が半端ないっす。
ここまでの感想で「エッチ」って言葉を多用してます。伝わらないような気がするけど「エロ」くは感じないんですよねぇ。「エッチ」。たまたま直前に下ネタ満載純愛漫画というわけのわからない作品を友だちに借りて読んでたんで薄味に感じるのかもしれません。
もしかすると女子はこの作品見て「エロ」いと思ったりするんだろうか?そんなことはないのかなぁ。

ギャップの話の最後にもう1点、この作品全体として、絵柄、設定と物語との間にギャップがあるなぁと。上の方で絵柄は苦手って書きました。本編はあんまり気にならなかったんだけど表紙は少女漫画風の絵柄だなぁっていう印象をもったんですね。
俺が慣れてない絵柄。なのに中身はちょっとエッチなコスプレの話。ギャップを感じました。そして物語を追うと、ここまで散々書いたように女の子が男の子を好きになる話でギャップというかかなりねじれてます。
正直、わかりづらい作品というか、最初に触れるまでには障害が大きい作品だと思うんですよ。だからこそ、一度気になるとハマりやすいんじゃないかなぁと。コンテンツ提供側の読みが外れたのかアマゾンで一時品切れになる程度にはアニメ化で原作が売れたわけですからね。

全体的な感想はいったんこの辺りにしておきます。感想文の最後にもうちょっと書きます。

 

4.細かい設定や要素についての検証

このパートはたぶん雑多な羅列になります。いちおうは一般的なものから並べてみようとは思いますがあっち行ったりこっち行ったりわけがわからないことになるとは思います。
ここまでの感想もわけわからないことになってると思うので何も変わらないとも言います。

 ・海外で人気が出そうな作品

海外でも、日本のアニメや漫画が好きないわゆるオタク層だけじゃなくて、もう少し広い範囲で人気が出る作品になる可能性があるのかなと思っています。
理由は容易に想像できると思うんですが、日本にいると頭を抱えて正気に戻れと叫びたくなるような「くーるなじゃぱんww」的な要素が山盛りです。

  ・ゲーム、アニメ、漫画といったいわゆるオタク文化
  ・ギャル文化

そして……日本にいるとそれとは対極にあるとしか思えない

  ・伝統工芸
  ・和装男子

海外の人、好きそうなんですよねぇ。
前2つ、あんまり好きな言葉じゃないんだけどひとくくりにするとサブカルチャーとか言われちゃう文化についていうと、まず、オタク文化とギャル文化を共存させてるっていうのはなんかスゲーなぁと思います。今の流行りなんですかね?俺が知らないだけで他にもこういう作品多いのかなぁ。
俺は東京メトロの千代田線を通勤にも休日にも使うことが多いんですが、あの電車って秋葉原と原宿の両方を通っていてなかなか面白いんですよ。
コスプレじゃないのかもしれないけどそれっぽいかっこうをしてる人もいるんですが、そっち方面への造詣が深くなくてもなんとなく原宿系かアキバ系かはなんとなくわかりますね。降りる駅が推測できるってことです。
両方が共存するってのはあんまり想像できてなかったです。
海外の人はどちらも好きな人けっこういるみたいですね。今の職場は外国から来ている人が多いですけど、ゲームとかアニメが好きな人がすごく多い。日本語の勉強と言いながらラノベ読んでる人とかw服装自由だから、なかなかあれなTシャツを着て出勤してる人もいたり。偉い人だと誰も突っ込めなかったりもします。日本で働きたいと思うきっかけがそういう趣味だったというパターンが多いでしょうから、自分の周りにいる人たちを標準的と思ってはいけないんですが、海外の人にもいわゆるオタク系のコンテンツが大好きな人がいるってことは肌で感じました。

後ろ2つもなんだか大人気です。職場がたまたまそういう感じの観光地なので、コロナの前は人力車に乗って和装コスプレ(とは言わないんでしょうが俺はそう呼んでました)をした海外からの観光客がたくさん。そして怪しげな伝統工芸の店でぼったくられるという流れ。
余談ですがコロナ騒ぎ後に日本の人が和装コスプレしててぎょっとしちゃいましたよ。とっても新鮮でした。
普段はギャルファッションに身を包んだ女の子がひな人形を作る和装男子に恋をしてその男の子に衣装を作ってもらってコスプレをするなんて、日本にいる人より海外の人が喜びそうな要素がどさっと詰め込まれている作品なんですよね。
そういえば、まりんはいつもギャルファッション(っていうのか?)をしてるけど、おおざっぱな性格っていう設定じゃないですか。おおざっぱでもそういうファッションって出来るもんなんですか?雑誌とか見て同じもの買って同じように着こなすとか?
まりんの素のスペックが高いから雑に着ても雑にメイクしてもかわいく見えるっていう設定なのかな?

 ・コスプレ趣味漫画という要素

実際にコスプレを楽しんでる人がこの漫画をどう受け止めてるかわかんないんですが、門外漢からするとすげー面白いです。本当のところとは違ってて話を成立するためにいじってるところもあるのかもしれないけど、こんな店あるんだぁ、とか、こんなことしてるんだぁ、とか。そういうところでは自分を五条君に重ね合わせてますね。ユザワヤって蒲田の手芸店だと思ってたんだけど今はコスプレ用品も売ってるんですねぇ。あの店は確かに楽しいよね。当時から千葉県在住だけど蒲田は友達が何人もいて立ち回り先だったんで高校生大学生の頃には本来の目的とは違う目的で使うものを買いに行ったりしてました。
話し戻すとそのコスプレ要素が自分でもびっくりするくらい面白いんです。その副作用?こういう場合なんて言えばいいんだっけ?語彙が出てこない、とにかくそのよい効果で、上の方で書いたこの作品は終了条件を満たしても話を続けられるんじゃないかと思っています。
つまり、五条君とまりんがお付き合いするようになったとしても、そのあともまりんや他の人たちがコスプレするエピソードを続けることで話が作れるってことです。五条君とまりんの組み合わせ以外でも話が作れるだろうし。まりんも衣装を作るお手伝いをして、だんだんできるようになるとかいう方向の成長物語になったらそれはそれで面白そうだし。
もう1点、自分がコスプレをして楽しんでるまりんが他のコスプレイヤーの写真を撮らせてもらおうとしているところ、面白かったです。実際にやってる人にとっては何が面白いのかわからないかもしれませんが、ああいうのって、コスプレする人とそれを写真にとる人って別なのかと俺は思ってました。

特に初めて参加したイベントでは、他の人の写真を撮りたかったまりんが逆に被写体になって列ができてた。ああいうことって普通にあることなの?
コスプレして会場には行ったけど、きれいだったりかわいかったりするコスプレイヤーを見つけて写真を撮らせてもらうことが目的だった参加者が、自分が声をかけられて写真を撮られる立場になるなんてことが現実にもあるんでしょうか。
たとえフィクションの中だけで成立する話だとしても、その発想が面白いです。実際そういう文化ならもっと面白いです。

俺のとらえ方ではラブコメ的な物語が『ビスクドール』っていう作品の根幹だと思っているんですが、そうではなくこっちのコスプレ趣味の方が根幹と感じている人も多いんじゃないでしょうか。あとエッチ要素こそ正義っていう感想もあるでしょうけどw
それについて作者はどう考えているか。われわれには知るよしもありません。
もし公式情報で何か発信したとしても創作者っていうのは自分の作品に対して嘘をつく権利があると思ってます。作者の発言を引用する場合は「それを信じるならば」っていう枕詞をつけないといかんし、発言が一貫していないことを責めてはいけないと思ってます。むしろ楽しんでるんじゃないかと。作者が読者をもてあそぶこともあれば、読者も作者の心の内を言い当てようといろいろ考える。作品自体から得た情報と作者の発言とを総合して自分なりにこうなんじゃないかっていうのを想像というか妄想するのが楽しいです。

一般論ですけど、作品の感想とかとらえ方っていうのは人それぞれ違うのが当たり前だと思ってます。

それにしてもこの作品、コストかかってるなぁと思いますね。
8巻までで何作品だ?えっと、4作品かな?架空の作品の設定と衣装をコスプレ趣味の話が成立する程度には作らなきゃならないんですからねぇ。
まりんも五条君もそれ以外に登場するコスプレイヤーも、衣装の見てくれだけじゃなくて、物語の中身とか着ているキャラの設定、性格とかも把握した上でコスプレをするというガチな人たちっていう設定だから手を抜けなくて大変です。この先もまた毛色の違う物語のいろいろな属性のキャラクターがでてくるんでしょうか。既存の人気作品を切り貼りして設定を作るにしてもめちゃくちゃ大変そうです。

 ・ひな人形

読んだ範囲では五条君が服を作れてメイクもできる理由として使われてるくらいで、上に書いた海外読者の獲得という余禄がある程度の設定なのかなと思っていますが、職人のおじいちゃんが、とてもいい味を出しているので、物語が進むとひな人形づくりも物語に絡んでくるのかもしれません。身もふたもない話をするとそれに需要があるかどうか見極めてっていうところなのかなぁと。
ひな人形と言えば岩槻か浅草橋っていうイメージですね。子供のころ家でひな人形とか五月人形の飾りの部品を内職で作ってました。『ビスクドール』のアニメを見てその頃のことを思い出しました。子供はああいうの好きなんでお手伝いという名目の邪魔をしまくってたことは覚えてます。その内職をくれてた工場も俺が東京にいる間に閉めちゃって別の内職を探すみたいなことをしてたなぁ……。令和の時代だと世知辛い話に聞こえるかもしれませんが、昭和の時代の下町では普通のことだったんだと思います。豊かではないその地域でも貧乏な方ではありましたが。
東京でひな人形飾りの部品を作っていた時代っていうのはまだ日本が世界の工場とかいう異名を持っていた時代で、低賃金で高品質のものを作るっていうので輸出しまくっていたんですよね。当時はひな人形とかを輸出したっていう話は聞いたことないですけど。
そういえば、そういう関係があったからなのか俺の家、子供は男しかいなかったけどひな人形がありました。当時は別に違和感なかったけど変わったことをしてる家だったのかもしれません。
アニメ1話を見て懐かしい子供のころのことを思い出しました。そういうきっかけもこの作品にはあるんですね。偶然って怖いです。
話を戻すと、ひな人形っていうのがこの先この物語で何らかの意味を持つのか持たないのかは全くわからないです。この節冒頭にも書いたように、今のところは五条君が服を作れる、メイクもできるっていう設定に若干のリアリティを持たせる材料ってところでしょうか。

 ・どこ住み?

やっとここまで来たぜ!
俺はそっちのオタクなのでめちゃくちゃ力が入るパートですねw
ここだけ抜き出して動画作るかもしれません。無駄にこだわってロクなのができないってやつw

この物語の舞台は今でいうさいたま市です。合併する前だと大宮市と岩槻市ですよね。
どこ住み?って話で問題になるのはまりんです。五条君は岩槻確定だから何の面白みもない。それ以外のキャラまではまだ考えてません。材料も足りない。

アニメ3話で初めて池袋に買い物に行くエピソードで、まりんが電車が来るからって先に駅に入ってくじゃないですか。あそこがポイントなんですよね。
五条君に勘違いをさせるという物語的な都合でってことなんでしょうが、よくよく考えると2人とも大宮方面に行くわけで、電車の時間がわかってるんなら、まりんの性格からすると五条君のことも急かせると思うんですよ。手を握って引っ張ってまたもや五条君をドキドキさせるくらいのことはするんじゃないかなって思うんですね。
それをしなかったということを、無粋ではありますが現実世界とリンクさせて考えてみます。

前述のように五条君の家は人形の街、岩槻。それは動かせないので、まりんは岩槻に帰る五条君と違う電車の沿線、しかも電車の時間を気にする程度には本数が少ない路線の沿線に住んでいる設定ってことになります。
ってことは、下記の2パターンに絞られるんではないかと思います。

1.高崎線 宮原以遠
2.東北線(宇都宮線) 土呂以遠

まず、大宮より近くだと五条君が電車の時間を気にしてないのにまりんが気にするっていうのは説明できないです。

池袋が起点となって埼玉県に向かう大宮を通らない路線もあります。東武東上線西武池袋線ですね。大宮を通らない路線であるとすれば東武東上線川越市以遠かなぁと思いました。でも電車の時間を気にするというほどには電車の本数は少なくはない。
それに、いかにまりんの行動力がすごかろうと、本数がそこそこ少なくて学校があると思われる大宮までかなり遠い、東上線川越市以遠や、さらにもっと遠い西武池袋線の所沢より先、飯能の方から毎日大宮まで通ってるとは思えない。
原作を読み進んでいくと学校から五条君や友達が気軽に行ける距離っていう設定になってるから東上線池袋線は無いと思います。
川越線埼京線)の日進以遠もあり得るかと思ったけどそこまで電車の時間を気にするかなぁ。大宮まで一緒に行こうよってことになるんじゃないかと想像しました。
大宮からだとニューシャトルもあってそれの時間から逆算してっていうのもありますけど本数はそこそこある。流山線とはわけが違う。
そして東武野田線だったら五条君とラブラブしながら一緒に帰るんだからそれは絶対ありえない。

結局あり得るのは、狙って乗るとらくちんだけど本数の少ない、湘南新宿ライン高崎線東北線、それも大宮以遠です。両方合わせて考えがちだけど高崎線東北線どっちかってことになるとかなり少ない。大宮で乗り換えればいいだけなんでしょうけど1本で行けるんならその方が楽でしょうし、乗り換えも埼京線の地下ホームからよりは地上でもしかしたら対面乗り換えできるんだろうから全然楽でしょう。五条君は埼京線で大宮まで行けばその先も本数がある野田線なんで急かせないように気を使ったっていうことで説明がつきます。
湘南新宿ラインは新宿で仕事をしていた時に飲み会帰りに同僚が狙って乗ってました。その人は東海道線方面だったけど東北高崎線方面もやっぱり狙わないとつらい本数ですよね。
そうするとあんなバカップルぶりを見せつけてるのに、家から池袋行くときは別々の電車で池袋待ち合わせにしているのもわかります。でも、学校から池袋に行くときは一緒に行くっていうのも納得できます。五条君は家から池袋に行くときは湘南新宿ラインじゃなくて埼京線で行けばいいんだから。まりんが乗る中距離列車の湘南新宿ラインをわざわざ狙って乗る必要はない。
俺だったら湘南新宿ライン狙うかなぁ。赤羽線経由より山手貨物線経由の方がなんか楽しい。
原作でもアニメでも、まりんはマンションに住んでることになってます。実際高崎線東北線沿線は大宮より先でも駅近のよさげなマンション多そうですね。
アニメで言うと2話と4話で、まりんは割と気軽に五条君の家に行ってます。4話では夜21時ころ差し入れの牛丼を持って行ってます。5話でああなる前なんです。まだまりんがそこまでじゃないときなんです。

それも考え合わせると、まりんが住んでる場所は東大宮か宮原あたりという設定なんじゃないかなぁ。そうだとすると学校までの距離はまりんの方が近いのか。

それにしても、埼玉の人は池袋に出るっていう話は聞きますが、こうやって物語の舞台にもなるってことはやっぱりそういうもんなのかなぁ。「認知距離」っていうのがあるんですが、それが近いんでしょうね。うちからだと池袋ってちょっと行きづらいので認知距離は遠めです。けっこうな期間サンシャインのあたりまで通勤もしてたんですけど慣れなかった。
新宿も気分的に遠いですけどめったに行かないのになぜか渋谷は近く感じる。原宿なんてめちゃ近いです。渋谷だったら表参道までは1本でそこから1駅、原宿は電車乗ってりゃそのうちつきますから。使ってる交通機関とか乗り換え回数とか乗り慣れてる電車とかそういうのが影響してます。車で行動するようになったら場所場所の認知距離が激変しましたからね。あと引っ越さなくても通勤場所が変わって定期の経路が変わるとけっこう変わります。今は定期がないんで都内が遠く感じます。
1本で行ける埼京線湘南新宿ラインがあるから大宮エリアからだと池袋新宿渋谷は実距離実時間以上に近く感じるのかもしれないですねぇ。

モデルとなってる高校はGoogleマップを見れば誰でも簡単に想像できるので、触れないでもいいかと。いちおうは候補が2つあるかなぁ。
大宮っていいよなぁ。いろいろあって。わざわざ池袋まで行く必要ないんじゃない?って思うけど、俺ももしかしたら柏でいいじゃんって言われちゃうんだろうな。柏、東京と反対側だからすごく遠く感じる。だったら秋葉原とか上野とか神田とか銀座とか赤坂に行っちゃうもん。全部千代田線の駅から歩いて行けるところw

話を戻してまりんがどこ住みか、意味ないけどあえて特定してみます。


東大宮推し。

 

ちょっと面白い設定になってるなんて余計なことも考えると東大宮推し。
そう考える理由はテキストだけでは表現できないので割愛します。そこを動画にしようかと思っていたり……。できるかなぁ。

ついでにもう1つ場所の話。
この漫画に出てくる場所のうち、唯一俺の認知距離が近いのは新三郷です。流山橋は渡るのに1時間くらいかかることもあるけれど旧有料を通ればそんなに遠くは感じない。取材協力は八潮市って書いてあるから場所は架空なのかなぁ。新三郷から八潮市内って一番近いところでも歩いていくのはきついと思うんだ。バスで行くところなんですかね。
気になって検索したらめっけた。なるほど確かに最寄駅は新三郷だけど遠いよなぁ。うちからなら車一択だけど高校生ですからね。あっ、車もやばいかも。あそこ、変則6差路があるんだった。さらに気になって最寄りのバス停を調べてみたら獨協大学前、昔の松原団地からバスがでてました。土日だけ1日1本w。こりゃ使えねぇわ。平らなところだからレンタルのチャリがあるといいかも。ちょっと離れたバス停なら草加とかTX八潮からのバスがありました。そっちなら1時間に何本かは走っています。
新三郷待ち合わせっていうのはフィクションですね、たぶん。取材ではタクシー使ったりしたのかな?高校生がタクシー使うっていうのが想像できない俺……
コスプレ姉妹がどこに住んでるのかのヒントは無いのでまりんと五条君だけの話になりますが、大宮や岩槻あたりから新三郷ってかなり遠く感じるでしょうね。実距離は池袋と変わらないくらいだと思いますが認知距離的に。俺が岩槻や大宮を遠く感じるのと同じくらい遠く感じるんだろうな。
池袋には気軽に行ってるところを見ると、五条君も春日部、新越谷/南越谷経由じゃなくて南浦和経由の方が心理的な障壁が低いのかな?武蔵野線はワープ感がすごいからね。速い。
たまたまなんでしょうけど新三郷の話で集中豪雨っていう場面になってて、これ、めっちゃ怖いですよ。今は大丈夫なのかもしれないですが、あのあたり、よく水没してたので。あのあたりに住んでた友だちの家で駐車場に停めてた車が水没したっていうのも聞いたことあるし。スープラなのにもったいないとみんなで嘆いてました。道路もよく水没してて水をかき分けて走った記憶はあります。今は住宅街になってるから排水をちゃんとしてるんでしょうね。
このパート、まじ、どうでもいい話だな。漫画やアニメの感想文とは思えないw

 ・性差、価値観の差

「読みすぎ」と思う人もいるかもしれませんが、俺は作者が、「男らしさ」「女らしさ」っていうような性差をはじめとする、価値観の差をお互いに尊重する社会っていうところにこの作品の中でスポットを当てようとしていると確信しています。

そして、その要素があるんで、この作品が今の多くのファン層には想像することが難しいかもしれないけどいわゆる意識高い系の人たちの興味を引くこともあり得るのではと思ってます。そして踏み絵を踏まされることになると……。この場合は踏まない方がたぶん正しい選択ですけど。

 

理由は簡単。原作でもアニメでも1話冒頭でそれが描かれてるから。そしてそれに続いて別の対応が描かれてるから。
まず冒頭、五条君にトラウマを植え付ける「男の子のくせに、気持ち悪い」という言葉。その一言が物語が始まるまでの五条君を支配していたというのが描かれています。
まりんに出合い、他のコスプレイヤーとも交流し、今まで話せなかった同級生とも話すようになって少しずつトラウマを克服していくという流れになってますよね。

それに続きて出てくるのが、自分の好きなものを否定された時のまりんのセリフ。「オメーがねぇわ」。

この対比がとても印象的です。

ジェンダー問題とか価値観の多様性とかいうことで俺から見ると意識高い系みたいな人が深刻そうに問題視したりしていることを、こういうちょっとエッチでほのぼのもしてるラブコメで描くっていうのは個人的にはすごく好感が持てています。

その後ずいぶん先の話ですけど「彼女捨てちゃった」には笑ったw五条君がああいう対応を取れなかったのは性格なのか当時子供だったからなのか……。

まりんにで瞬殺されたナンパ野郎の話。人が好きなものを否定するのは許せないまりん。見てて気持ちいいです。
あえて言うならまりんって「おとこらしい」ですよねぇ。性別関係なくです。逆に五条君の方はひな人形好きっていうのを抜きにしても、昭和の時代だったら「おんなみたいにうじうじして」って言われちゃうのかもしれません。そういう壁をとっぱらうっていう考え方がこの作品の根底には流れていると感じてます。

1話での五条君とまりんの反応が両極っていうところで、ここはたぶん作者が描きたいところなんだろうなぁって思います。

ビスクドール』って作品では、さらにそこに「コスプレ」っていう男装女装が当たり前、というか、自分とは違う人になることが目的になってる世界が描かれています。外見は作ることができる、たとえ性差があっても、という世界です。それがリアルなのかフィクションだからかなのか俺にはわかってないですけどこの作品世界ではそういうことになっている。。

作中に出てくるコスプレイヤーやそのコスプレイヤーを撮影に来ている人たちは、みんな他の人が大事にしている人を大事にしてくれています。学校の友達とかもそう。最初のうちは違うけどある程度打ち解けた後は互いの価値観を尊重しているように見えます。プライベートには必要以上に踏み込まないという印象も持ってます。

すごく優しい世界。

コスプレ漫画だけど、コスプレ大好きなまりんも五条君と出会うまではイベントには行ってなくてネットでデジタルデータを見るだけだったんですよね。物語が始まってから、この作中で描かれる優しい世界を知ることができたんですね。

2人で……、一緒に……。

まりんが完全に恋に落ちたのは五条君の寝言ですけど、その前の、最初の衣装を作るときに自分が勧めたゲームを、それまでそういうのに縁がなさそうだった五条君が、自分以上に細かいところまで見ながらやってくれたっていうので心は動いてしまっていたのかもしれません。
その割にはそのあと何度も男子の純情を何度も踏みにじってますけどねwそれはまぁそういう話だし羞恥の基準が五条君とは全然違うからしょうがない。
五条君も最初に学校でミシン使っているのを見られたとき、ひな人形をみたまりんが「きれい」って言ったときに感じるものがあったんでしょうね。その時は恋には落ちてはいないかもしれない。けれど、この人は今までの人とは全然違うって思っちゃったのかもしれません。
実は俺にはちょっとその感覚わからないんです。漫画とかを見ると自分の好きなものを他人に好きって言われるのってそうとううれしいっていう描写をよく見るのでそういうものなのかなぁと。
俺はどっちかというと俺だけにその良さがわかるって思いこむ方が好きですw

海外の話に書いた、いわゆるサブカルチャーと伝統工芸を同じレベルで描いているようにも思えます。それは両方から怒られることなのかもしれませんが、「好き」とか「いい!」とか思う気持ちは一緒っていう考え方なんじゃないかなと思います。そういう考え方は、とても好きです。何かを特別扱いするんじゃなくてフラットに扱うという考え方ですね。

ところでネットの感想を見てて最初に五条君にトラウマを植え付ける女の子が何者かっていう話を目にしたんですが、俺は下記3つの順で可能性が高いと思ってます。
1.1話限りのキャラ
2.同級生のツインテール女子
3.まだ出てきてないキャラ
同じ1話でまりんに秒殺されたイケメンと同じ扱いっていう可能性が一番高いんじゃないかと。あのイケメンとのんちゃんが同列っていうのはファンには受け入れがたい予想でしょうか?
自分の大事なものを否定されたときにトラウマを植え付けられちゃう五条君と、秒殺するまりん。その主人公2人のキャラを対比させるためだけの存在という印象を持ってます。
同級生の子が昔から実は知り合いでっていう可能性もなくはない。無くはないけど今現在のあの女の子の性格だったらピンときたらすぐになんか言ってるような気もする。五条君のトラウマなんか気づくはずもなく、空気を読まずに「あんときはごめーん」とか軽く済ませそうな。もっとひどくて本人は五条君にひどいことを言ったことを覚えてすらいないとか。
もし過去につながりがあったら学校で出会って、最初のうちはわからなくても岩槻で五条でひな人形屋っていうのがわかったらさすがにピンとくるんじゃないかなぁ。ときどき見ている描写は気になりますけど、恋愛感情を持っているのでもなく、昔のことを思い出しているのでもなく、なにか気になることがあるってことなんじゃないかなぁ。全く描かれてないまりんの過去とのつながりだったりして。それで上の方に書いた予想になりました。さてどうなるでしょうか?
まだ出てきてないキャラっていう確率が一番低いんじゃないかと思います。いまさら出てきても物語的に絡みづらいんじゃないかなぁと思ってます。あの子の価値観が変わってないとした場合、もし五条君のトラウマの話をその時点でまりんが知ってたら、まりんガチギレ大暴れでその話は終わるような気がします。
あの女の子の価値観が今は変わっていたとしても、どう話に絡ませていいか俺には思いつきません。コスプレイヤーの一人として出てきて謝ってすぐ退場っていう程度ですかねぇ。
ブコメなんで恋愛部分に絡ませるのがありがちなんですけど、五条君とまりんの間に割って入るのって難しいというよりバカらしいことに思えてならないんですw。仮に五条君のことが好きだったとしても今の2人の間に入り込むって無理っぽいんですよね。

性差の話に絡んでるネタをもう1つ。これ、書こうかどうしようか迷ったんだけど、原作を読み進めているうちに、とある小説のことも思い出しちゃったんですよ。タイトルは書かないことにします。だって、それ推理小説なんで。
その推理小説で提示されている謎というか謎解きの根幹部分に関わってくるところと、『ビスクドール』って作品の筋立てがなんとなく自分の中でリンクしちゃってるんですよね。もちろん全然話は違います。推理小説の方は悲劇的な展開です。人死んじゃいますし。
その推理小説も評価が高く、読んでる人も多いと思うので、もしかしたら読んだことがある人が俺と同じような感想を持っていたりするかもしれません。ないかなぁ。マジでそれこそ俺だけでいいわっていうか俺だけであってほしいw

 ・容姿

コスプレ要素に関連する要素です。
上にも書いたようにコスプレのこと全然わからんので実際にそうなのか俺には判断つかないのですが、この作品の中では体形とか顔とかは変えられるもの、作れるものということになっています。身長はあまり変えられないし特に小さくするのはまず無理っていう現実的な設定にはなっていますけど、顔つきとか体形はある程度変えることができる。
漫画アニメ的な都合もあって、まりんは超美少女として描かれてますし、そうでなければアニメ化されるほどの人気になることも無かったのかもしれません。しかし、この作品の根底には「外見より中身」っていう考え方も流れているんじゃないかなと感じています。
まりんはその容姿で人に羨まれる立場にいます。同性からは嫉妬され、異性からはあこがれの対象となっている。でも、五条君に恋しちゃったのは、外見だけではなく内面、つまり自分の好きなものを一緒に好きになってくれて、自分よりも深く理解してくれた、それが大事だったんじゃないかなぁ。内面を理解してもらったうえで外見を指す言葉を寝言で言われて完オチしたんだろうなって。

と思ったんだけど違うかなぁ。まりんのいう「いつメン」は、男子も女子もまりんの外見を愛でたり嫉妬したりしているわけではなく、内面をわかったうえで友達付き合いをしているように描かれてるから五条君が特別ってわけじゃないですよね。

まりんがよく使うギャル語なのか若者言葉なのか俺にはわからない「顔面」っていう言葉、なんか気に入りました。まりんは「顔面」とかプロポーションは作れるからそこに魅力を感じられても……っていう意識をもともと持ってて、コスプレをするようになってより強く意識しているのかも。

だから自分が大切にしてる大好きな物に真剣に取り組んでくれて、自分のためにがんばってくれる五条君に恋をしたのかなぁ。同じように大事なものを持ってる五条君に惹かれたのかなぁ。外見をほめられただけでは恋に落ちなかったんだろうなぁ。でもほめられるとうれしい、ほめてもらいたいっていうところが、男子心的にはたまらなくかわいい。

容姿の話のついでに言うと、もしまりんがみため普通だったり地味目だったりする女の子で五条君がかっこいいイケメンなら少女漫画ですよね。人気は……少なくとも男子にはこれほどまでは出なかったような気がします。男の子に頼りすぎだろうって話になっちゃいそうな。その場合は男の子の方が恋をする展開でしょうね。

 ・まりんがかわいすぎてつらい

なんか直接書かなくても伝わっちゃってるだろうし、この年だと書くのが気恥ずかしいところもあるんですがやっぱり書かずにはいられない。
上の方で書いたように五条君は女子の妄想を具現化したキャラだと思いますが、まりんもまた男子の妄想を具現化したようなキャラなんですよね。
美少女だけど料理とか裁縫とかうまくできないなど、こういっちゃなんだけどベタな設定はありますけど、自分の思ったことをはっきり言って、好きな男の子の前では乙女になって、しかもエッチとw。

そしてこれですわ。

「人の好きなものバカにすんなよ」

「自分の気持ちは自分の為に言わなきゃダメだよ」

「好きなものに男とか女とかって関係なくない?」

アニメでも原作でもまりんが1話2話で言ってるこのセリフがこの作品世界の基本になってるんだなぁと思います。んで、五条君や他の登場人物が好きな人には申し訳なんだけど、この『ビスクドール』っていう作品世界を支えてるのはだれか、っていうとやっぱりまりんになると俺は思ってます。主人公が誰かとか関係なく支えているのはまりんっていう女の子。

まりんがいないとこの作品は絶対成立しない。

まりんのいいところは、自分が好きなものをバカにするのが許せないだけじゃなくて、自分も他の人が好きなものをバカにしないってところですね。現実ではダブスタの人って案外と多いじゃないですか。この子はそうじゃない。そういうところもファンタジーではありますよね。そういう面ではかわいいっていうよりも信用できるっていう感じ。リアルでもお友だちになりたいし、成人したらうまい酒が飲めそうなタイプだけど「ねぇわ」って言われて断られそうw

かっこいいっていう話じゃなくてかわいいっていう話を書こうとしてたんだった。

上にも書いた、上手じゃないけどがんばって料理を作るところとか、失敗したけど味を褒められて喜ぶところとか、失敗しちゃうけどボタンをつけようとするところとか、いいところでお腹が鳴っちゃって恥じらうところとかマジかわいい。
まりんの作った「ごめん」のやつ、なんか普通にうまそうなんだけど……。今度作ってみようかな。あれよりはたぶんひどくなる。それが現実ってもんよ。

漫画的な表現だけど感極まると五条君をポカポカ叩くのがめっちゃかわいい。あまがみかよ!って感じ。あれ見せられたら、五条君とまりんのどっちかが好きな人でも、もうすっかりバカらしくなって入り込もうと思う気がなくなるくらい逆に引いて冷めちゃうんじゃないかってくらいかわいい。

とにかくこの子かわいいです。大笑いするのもかわいいし、つらいとき、悲しい時に声を上げて泣くのもかわいい。他人の痛みに共感してマジ泣きするのもかわいい。この子すごく表情豊かに表現されている。原作者はもちろんアニメにする人も大変だろうなぁ。

恋に落ちる前のまりんもかわいいけど、恋に落ちた後のまりんはさらにかわいくなります。俺の偏見全開で言わせてもらうと、見た目の第一印象は自己中っぽく見えるギャルなのに、他の人が傷つくことをされたのを聞くと本人以上に怒ったり悲しんだりしてくれる。自分の価値観を侵害しない相手、共有できる相手には、その相手の価値観を尊重して外見とか関係なく接するし。

かわいいっていうよりほんといい子だよね。この子大好きだよまじで。

この物語って、まりんの初恋っていう設定っぽく見えますね。スペック高いから言い寄られることは多そうで、見た目で判断して申し訳ないけどもしかすると遊んではいるっていう設定なのかもしれないけど、今まではあくまでも遊びで、まりんの方が本気で男の子を好きになっちゃうのは初めてのように思えます。

なんかねぇ、こういう理想的な男の子と理想的な女の子が同時に一つの作品の中で出てくるのっていうのはめったにないと思うんですよねぇ。毛色は違うんだけど高橋留美子的なものを感じたりしています。そういえば『うる星やつら』も色気満載だったもんなぁ。「土曜の夜は子供を作るっちゃ!」は一生忘れない。あのセリフアニメでもやったんだっけ?最近見たけど覚えてないや。

めぞん一刻』も近いけど五代君が理想化されていないからなぁ。でも改めてよくよく考えるとやっぱ似てるよな。

話が横道にそれちゃいましたけど、とにかくまりんはかわいいってことです。しかもすごくいい子。よくよく考えてみるとこのくっそながい感想文、その1文だけでよかったのかもしれん。

 ・アニメがすごくいい

上述の通り、アニメを見てから気になって調べて原作を買うという流れでした。そういうときってだいたい俺は「アニメもいいけどやっぱ原作だよなぁ」って思っちゃうんです。
映像メディアを見るのが苦手で紙メディアの方が好きだし、やっぱり原作者の思いがそのまま表現されているような気がする原作が一番好きだなぁって思っちゃう。逆にアニメが原作で、コミカライズとかノベライズされた作品はどうなんだと自分で考えてみたんですが、そういうパターンでハマった作品ってもしかすると今まで1つもないかもしれません。そもそもアニメあんまり見ないし漫画もあんまり読まないですからねぇ。

そんな俺でもこのアニメはすごくいいなぁと思って毎週楽しみにしています。アニメが気に入って、原作を読んで、さらにそのあともアニメもいいなと感じた珍しいパターンです。

絵がきれいとか動きがどうとかはよくわからないのですが、なんというか、間とかテンポが原作を読んで感じたのがそのまんまアニメになってるっていう印象なんですね。
原作を読んでる最中にアニメを見たのは3話です。原作3話分をアニメ1話にしてるんけどちょうどいい感じでした。

アニメ見てから原作を読むと、先に見たアニメに対して「いやいや力を入れるのはそこじゃなかっただろう」「時間配分間違ってるだろう」みたいなことを自分勝手に思うことも多いんですが、今のところこのアニメにはそういうのがない。
時間の都合で長めに表現しているところもありますけど、あんまり違和感が無いですね。

アニメ3話まででは五条君がうじうじしてるのが増量されてますよね。1話での友だちいないアピールとか、教室でぽつんなところとか、2話でまりんが大胆になってもてあそんでる採寸の時とか、3話ではまりんから逃げ回ってるところとか。
そういう場面を見てアニメが長いと感じるんじゃなくて、逆に原作がページの都合で短くなってるんじゃないかとさえ感じました。原作はページをめくるスピードとか目線の動きで自分で調整できるからそういうところは長めに調整していたのかも。
アニメの表現で五条君の内気さを原作以上に強く表現していた理由は、やっぱギャップを際立たせるためなんでしょうね。まりんの無茶ぶり(実は誤解だったけど)に何とかして応えてあげたいと決めた時、彼は豹変する……。かっけー。男から見てもかっけーです。


せっかくアニメの話になったんで、まだアニメになってない話で、ここは動く絵でも見てみたいっていう場面をいくつか書いておきます。たぶん1期の範囲外だと思います。
 ・風邪の話
あの話、アニメにすると音が汚くなりそうだけどそれも込みで見てみたいなぁ。いい話だもん。五条君には早くまりんの気持ちをわかってやってほしい。
嘘ついて早引けして看病に行ってることは、まりんの友だちもみんなうすうす感づいてて、冷やかしついでに様子見に行くべ見たいな感じだったんじゃないかなぁ。描かれてはないけど玄関の靴とか定番的なやつで実はバレバレだったりするんじゃないかなぁ。でも、このご時世だから大人のくだらない配慮みたいなのがあってカットされちゃうのかもしれませんね。そのころまでに騒ぎが静まってたらいいんだけど……

 ・私服で学校に行っちゃう話

これも好き。こういう特に大きな事件が起こるわけでもない日常っぽい話が好きなのかもしれない。といいつつまりんは死にそうになってるけどw。2人ともすごく楽しそうでまぶしすぎます。まりんはあの状態で電車に乗って五条君の家に行ってご飯を食べるのだろうか?

アニメになるのはおそらく4巻あたりまでの内容になると思います。よっぽどのことがない限りこの先2期3期と続く作品になると思いますが、アニメの方も全部見ちゃいそうな勢いです。

あとはまぁ身も蓋もない個人の都合ですが、原作絵柄よりもアニメの絵の方が俺が見慣れてるような気がしてるっていうのもあります。原作がよくないって言ってるわけじゃないですよ。慣れてないだけでだんだん気にならなくなってきたし、見慣れてくればもしかしたらお気に入りになるかもしれません。

 ・あの1枚絵

俺があんまり漫画を読まないせいかもしれないけど、あの見開きを使った1枚絵と同等かそれ以上の衝撃はちょっと記憶にない。読みなれてる小説でも記憶がないかも。
だって、Wikipediaであらかじめあらすじ知ってたわけですよ。なのに戦慄が来ましたから。

ああ、そういうことになっちゃうんだ。なるほどねぇ、って。

記憶の中なんで細かい言葉は違うかもしれないけど、昔ね、「一行で世界が変わる」っていうキャッチコピーの推理小説があったんです。その本を読んだら本当に一行で世界が変わったんですよ。戦慄が来た。俺はそんなに真剣に読まない読者なんで全然わかってなくて、わかってた人とかある程度予想してた人はどうだったんだろうなってずっと思ってたけど、もしかすると同じように戦慄したのかもしれない。
他の例としては、子供のころ無理やり読まされたいわゆる文豪と言われるような人が書いた小説を年食ってから読み返して、なんでこんなつまらない話をみんなありがたがるんだろうと子供の頃と同じ感想を持ったんですけど、途中であることに気が付いて背筋がぞわーっと……。確認のため短い小説を何度も読み返してそのやばさがわかって、その作者の作品はもう読まない方がいいと思ったっていうのがありますね。それに気が付いちゃうと読んでてこっちがおかしくなる。

ビスクドール』に話を戻すとあの1枚絵は2ページで世界が変わった。

これって俺にしかわからない感覚だったりするのかな?背中がね、ほんと、マジでぞわっとするんです。風邪ひいたときに「悪寒戦慄」っていうじゃないですか。あれ。高熱で感覚が変になった時と同じ感じになります。
本を読んでそうなるときはそこまでの物語を思い出したり、あれ?と思って読み返したりしたくなる。そういう感覚。

この絵より前と後で物語のありようがガラッと変わっちゃうんだよね。しかも、しかもです、『ビスクドール』って作品は、あれがプロローグの終わりなんですよね。物語がここから始まる。
もし仮に人気が出なくてもここまでは連載をして、ここでの読者のを見て、だったんだろうなぁ。
原作者はもしかしたらあの1枚の絵に人生を賭けたのかもしれない。俺にだけそう見えるのかもしれないけどなんか鬼気迫るものを感じました。
この作品をこの1枚絵に至る前から気に入っていて雑誌連載で読んでた人がすごくうらやましい。なんの予備知識もない状態で、前回から待たされた状態であれを見せられたら人前で叫びそうな悪寒がします。

とにかく、この1枚絵を見た瞬間、俺の中で『ビスクドール』って作品が、「触れることができてよかった面白い作品」から、「出会ったことを感謝する一生の中でそうそう出会えることがない特別な作品」に代わりました。

この感想文もアニメの中でこの場面が描かれるまではアップロードしないことに書き始める前から決めてました。ここに至る話とここからの話ってなんかもう別物なんだよね。しかも、そういう流れだってことを知ってて戦慄したからね。

こういうのって普通は作品終盤にあるものなんだけど序盤にあるっていうのがなんかねぇ。ハマる要素しかないわ。うん。

もしかして、なんというか、女子的な感覚だとあの絵は戦慄とかじゃなくて、「ああ、そうなっちゃうよねぇ」と共感したりするんでしょうか?そういうところまで込みでいろいろな思いが渦巻いてしまう1枚絵です。


5.まとめ そしてこの作品のタイトルについて再考

 

『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』

 

ギャルでオタクでコスプレ趣味のまりんが、純情で内気で自分の気持ちを表に出せないひな人形の職人を目指す五条君との恋に落ちる話です。
英語のタイトルは『My Dress-Up Darling』となってます。Google先生に翻訳してもらうと「私のドレスアップダーリン」……わけわからん。想像ですけど「私を着飾ってくれる愛しい人」という意味かなぁ。
漫画原作を見ると英語タイトルはもう一つあって『The Bisquedoll is falling in love』。海外から来てる人にまじで「日本語でおk(すでに死語のネットスラング)」っていう趣旨のメールを受け取ったことが自慢の俺でもたぶん直訳だなっていうことはわかるタイトルです。その2つの英語タイトルがある理由を考えてる記事があってすごく面白かったので検索してみたりしてください。

 

日本語タイトルと英語タイトル2つ。いずれにしろタイトルはまりん目線なんですよね。でも、冒頭部分は五条君のトラウマだし、まりんに出合ってそのトラウマを克服するまでの物語という側面もあります。
そういう恋愛物語や成長物語と並行して、架空の物語なのにさらにその中での架空の物語のキャラクターにコスプレするという階層化された物語となっています。
この作品は見た目以上にいろいろな要素が詰め込まれていて、そのいろいろな要素に二面性というより多面性があり、読む人見る人それぞれが違う感想を持つ可能性があるんじゃないかと思ってます。

 

経験上、誰もが同じ感想を持つっていう作品は瞬間的には爆発的な人気になるけれど、その人気は継続しない(一気に売れてそのあとブック○フに山積みになったり買取拒否されるようなやつ)と思っていて、読む人によって全然違う感想を持ったり、同じ人でもあとで読み返すとまた違う感想を持ったり、こんな描写も入っていたのかと気づいたりできる作品のほうが結果的にはのちの時代まで残っているように思ってます。そして、この作品はそういう作品になるかもしれないなという気がします。現時点では気がするだけですね。もっと読み込まないと。
そういう多面性も合わせて考えると、この作品、いわゆるオタク層の人たち以外ににも受け入れられる下地はあると思うのです。
思うんですが……、今のままだとみんなが知ってるようなものすごいヒットっていう状態になることはさすがにないでしょうね。

その理由は簡単。内容的に家族みんなで安心して見られる作品ではないw
全校生徒の前で……とか家族で見てると気まずくなる家庭が多いと思うw俺は「アニメでもそれやるんかい!w」って思いましたけど。

まりんの羞恥心基準がずれていることを利用した場面など、エッチなサービスシーンが多いです。俺はうれしいけど、たとえば家族で見ていると気まずい雰囲気になってしまう。

この手のやつは実写化されたら人気爆発っていうのもありますね。ただ、そうなるとそれこそエッチなシーンは削られまくって、原作・アニメ勢から嫌われちゃうというリスクが高いですよねぇ。

2次元作品の実写化には否定的な考え方を持っているし、そもそもドラマを見るっていう習慣が無いので、わざわざみることもないんですけど、去年見た『ゆるキャン△』は実写もアニメも別の味わいで、原作読んだらまた違うという作品でした。見る前から避けるのはよくないんだなぁということはつい最近学習しました。
この作品には価値観の多様性っていう意識高い系の人が好きそうな社会的な課題も含まれているのでNHKあたりが食いついたりするかもしれないです。あのテレビ局、『聖☆おにいさん』を地上波で流すんだからねぇ。絶対無理と思ってた『境界のRINNE』のアニメもやっちゃったし。実写化して、意識高い系の人が勘違いして見ちゃって、その中にツボに入る人がけっこういて、っていう流れも考えられます。

 

話をタイトルに戻しますね。


最初に書いたように、そもそもタイトルに対する違和感からこの作品を知ることになりまいした。
さらに内容まで触れてから、この作品のタイトル『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』を改めて眺めてみると、日本語ネイティブに生まれてよかったなぁ、って思ってしまいました。
個人的な印象です。着せ替え人形っていうと子供が遊ぶもので、命は吹き込まれていないけどまだなんとなく温かみがある感じがします。しかし、ビスクドールっていうと陶器の人形を想像して無機質で冷たい感じがします。


「着せ替え人形」をそのまま「きせかえにんぎょう」と読ませるのと、「ビスクドール」っていうルビを振ってそう読ませるのとではずいぶんと印象が変わると感じています。

 

読み方のビスクドールっていう言葉から受けるイメージは、冷たい、無表情、無感情なんですが、その単語に「恋」っていう感情的な言葉が連なってる。そして「は」です。「に」ではなく「は」。「に」だとそれほど違和感はないです。冷たく無機質な人形に恋をするっていうのはラブコメじゃないけど江戸川乱歩的な雰囲気を感じるのでそれはそれで面白そう。「は」だと連想するのはラブコメじゃなくてホラーだなぁ。人形が夜な夜なっていう感じの話。俺は苦手w

でも「は」です。で、ホラーじゃないっぽい。その「は」だけでなんか今まで知らなかったような面白い話なんじゃないかと思えてしまったんです。そして作品の内容にまで踏み込んでみて「は」の意味が分かるとそれで落ち着くんじゃなくて、余計になんか、なんというかもやもやしたものというか言葉にはしづらい感覚が芽生えてきました。

読み進めてから素直にタイトルを読み解くと、五条君にとっては自分が作った衣装を着てくれるだけの存在のはずのまりんが自分に恋をしているってことなのかなぁとしみじみするんですがなんかそれだと読んだ感想とは一致しない。

今度は最初に持ったのとは別の違和感もまた芽生えてきちゃうんです。

 

それが何かと考えてみると、こういうことでした。

 

俺のイメージする着せ替え人形とまりんは、なんとかぎりぎりつながるんですが、「ビスクドールとまりんが全くつながらない

 

もしもまりんが無口で無表情な美少女だったら「ビスクドール」っていう言葉がすごくイメージできるんです。でも実際には表情も感情も誰よりも豊かで明るくて快活で自分の意見ははっきりと言う女の子。まりんってビスクドールという言葉から俺が想像できる女の子とは対極にいるような子なんですよね。

 

そこでふと思ったんです。

 

でも、これは、これはさすがに読みすぎかなぁと思うんですが……たぶん読みすぎだと思います。そのつもりで読んでください。

 

この作品のタイトル『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』は、ルビによるダブルミーニングなのかもしれないと、ね。

 

つまり、『その着せ替え人形は恋をする』という物語と、『そのビスク・ドールは恋をする』という2つの物語が、作品世界と登場人物を共有して同時並行で進んでいき、そこに、コスプレとか価値観とか他の要素を絡めているんじゃないかと。

具体的に言うと、『その着せ替え人形は恋をする』の主語となる「着せ替え人形」は、いうまでもなく、まりん。これは読み進めれば誰でもそう思うやつ、そして、『そのビスク・ドールは恋をする』の主語である「ビスクドール」は、実は五条君かもしれないなぁって。もしかしたらそうなのかもしれないなぁって思ったんです。

 


コスプレが大好きな女の子が、服を作ってくれて自分の大切なものを大切にしてくれる男の子に恋をする。
そういう物語に、主人公を着せ替え人形に例えてタイトルを付けた

 


自分の気持ちを表に出せない男の子が、コスプレが大好きで自分の大切なものを大切にしてくれる女の子に恋をする。
そういう物語に、主人公をビスクドールに例えてタイトルをつけた

 


その2つの物語を同時に、登場人物や作中世界を共有して、1つの物語の中で描こうとした。

だからフリガナを使って1つのタイトルで2つの物語が描かれることを表現した。

 

『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』というタイトルになった。

 


そうすると「着せ替え人形」と「ビスクドール」っていう、イメージは似てるけど別物の2つの言葉をルビでつなげる理由がとっても納得できました。

着せ替え人形とかビスクドールとかに全く知識が無いので、受ける印象それ自体がいろいろ間違ってたらめっちゃ恥ずかしいんですが……、俺はそう感じました。

漢字ひらがなカタカナさらには数字や記号にアルファベット、半角全角までごちゃまぜになる日本語という言葉の特性では、どういう文字を使うかで同じ言葉でもそうとう印象が変わるとは思ってます。受ける印象がずいぶん変わります。例はすぐには思いつかないですけど、タイトルのつけ方うまいなぁと思うことはあるし、1本の記事でもミスじゃなくてあえて表記する文字種を変えてみるなんていう自己満足をしたこともあります。ミスのことのほうがもちろん多いですけど。

もしも、この作品が、漢字にいくつかの読みがあり読めない人もいるという特性というか欠点を補うためになんとなく使ってるルビ、つまりフリガナを使って、1つのタイトルに2つの意味を持たせているとしたら……、日本語ネイティブでしみじみよかったなぁと思えます。ほかの言語だとなかなかこの表現はできねぇだろう。

そういうことを考えながら『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』っていうタイトルを見直すと……もう一度最初から読みたくなりますね。

あの1枚絵、戦慄が走った理由は、もしかしたらその時はまだ言葉にできるほどには自分の中で理解できてなかったこのことが原因だったのかも。

2つの物語が1つになるというめったにない瞬間というのを目撃して戦慄が走ったのかも。


もしかすると俺はこのタイトルを番組表で見た瞬間に負けてたのかもしれない。本能的に「なにかがある」って思っちゃってたのかもしれない。
ああ、そっかぁ。


俺はたぶん、この『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』っていうタイトルに恋をしてるんだ

なんだ、最初からわかってたことじゃないか。


こういう感想文にはサブタイトルをつけることにしてます。
最初から決めててそれに沿う内容にすることもありましたが、久しぶりに書くし何も決めないで書き始めました。書いてる途中でも特に考えてませんでした。書き終わってから考えればいいやって思ってました。そして、ここまで書き進めて来てごく自然に「これしかない」っていうサブタイトルが頭に浮かびました。
逆にこの感想文には他のタイトルをつけようがない、くらいに思ってます。

 


この長い感想文もそろそろ終わりになります。
実はこれでもまだ書いてないことがあるんです。
そういうのもひっくるめてまた感想を書きたくなりそうです。だいたい、アニメで「あの話」をやって、この感想文がアップロードできるようになるまではこの作品について言及しないようにしてたんだけど我慢できませんでしたからね。

ここまで長いのを書いたってことは、たぶんこの先もこの作品読み続けることになるんだろうなと思います。できることなら完結まで事故なくきっちり読みたい作品です。

五条君とまりんってまだ1年生なんですよね。高校卒業まで本編とするとこの先2年分の物語があるかもしれないんだ。コスプレっていう要素があるから卒業=おしまいじゃないのがまた怖いところ。人気が続いたら2人がもっと成長しても物語は続くかもしれません。

 


『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』

 


まさかこんなにハマる作品に巡り合えるとは……

巡り合う1秒前にも思ってなかったです。ほかの人に勧められたわけでもなく、評判がいいという話を聞いたわけではなく、本当にたまたまだった、出会えなかった可能性の方がずっと高い。

そんな物語に出会えた偶然に感謝してます。

この作品の、原作者をはじめ関わってる皆さんにお礼をいいたいです。さらに、これ以外の作品を作り上げてる皆さんにも。
まだ触れてない作品はもちろん、たとえ俺には合わなかったり良さがわからない作品であっても、決して自分には作ることができない物語やお話や設定を作ってるすべての皆様にも……。


こういう出会いがあるから人生まだまだすごく楽しい……。

 

6.蛇足 妄想最終回

せっかく、ちょっとかっこつけた、いい話っぽい文章で終わったんですが残念な蛇足です。
この作品に限らず、アニメとか原作を見たり読んだりしてると、ふと、「ああ、この物語はきっとこんな感じで終わるんだろうなぁ」っていうのが頭に浮かんじゃうことがあるんです。よくあるんですよね。推理小説ばっかり読んでたせいなのかなぁと思います。読んでるうちに結末を想像しちゃうんだ。

この作品の結末もそんな感じでふと頭に思い浮かんじゃいました。そしてその想像というか妄想をしたとき、年のせいもあり涙腺が緩みやすくなってるのでうるっときて、そのあと涙が止まらなくなった。自分で思いついた妄想なのにお恥ずかしい……。
今でも想像するとうるっとくるw

話としてはすごくありがちで、ネットを検索すれば同じような予想とか二次創作もありそうなんですけど、万一どこにも書いてなくて、かつ、もっと万一、万が一にもぶちあてたら、他ならぬ自分へのダメージが大きいんで具体的に書くのはやめておきます。
どんなのを思いついていい年のおっさんが泣いちゃったのか、単語3つだけでほのめかししてこの非常識な長文を本当に終わりにします。

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