『その着せ替え人形は恋をする TVアニメ公式ファンブック 喜多川海夢しか勝たん』感想

アニメの感想をネットに書いたりもするんですが、ぶっちゃけアニメには疎いのですよ。マジで。

なんで、今年に入るまでテレビアニメに「覇権」っていう概念があることを知りませんでした。

どうやら着せ恋は2022年冬アニメの覇権を取ったんじゃないかと言われているようです。

正直に言うと、俺はそれには同意することはできません。数字で見れば確かにそうかもしれない。しかし覇権っていうのとは違うと。

 

テレビアニメ『その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする』は、2022年冬の覇権アニメではないです。

 

テレビアニメ『その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする』は、俺が今まで見たアニメの中で唯一ハマったといっていいアニメです。

 

もちろん今まで見たアニメにも面白いなとか好きだなと思ったアニメはたくさんあります。しかしハマるというのは違う。小説でも漫画でも同じなんですけど、面白いと思ったり好きと思ったりするのとハマるのとでは全然レベル感が違います。

ネットに書き始めた後はわかりやすくなってて、面白かったり好きだったりする作品の感想は1回書くんですけどそれでかなり満足します。

ハマった作品だとそうはいかない。

何度も書いちゃう。何度も何度も同じことの繰り返しになっても書いちゃう。書かないまでもことあることにその作品のことを思い出して、他の作品と比較する基準になってしまいます。

ハマるかハマらないかに何か基準があるわけじゃなくてそうなるかどうかっていうのは自分でもまったくわかりません。

 

俺ね、着せ恋のアニメを見るまで、俺はアニメにはハマらない人だと思ってたんですよね。

そういう人間をどっぷりハメた作品です。その裏には何があるのか……気になっちゃいます。

自分がどうしてハマったのか……気になっちゃいます。

 

さらに特異なことに、この作品の場合は原作にもハマった。漫画では今までの人生で4回目です。数えられるレベルなんですな。

普段はアニメ見て面白な好きだなと思っても原作を読むと「やっぱ原作だな」って思っちゃう。

ところがこの作品はそうではなかった。

原作には原作の良さがあり、アニメにはアニメの良さがある。話の筋立ては同じでも何か違うところにハマってるんじゃないかという感覚がありました。

 

よくわかってなくてハマりづらい人をここまでハメるっていうの、すごくないですか?

毎期何本もハマってる人をハメるのとはわけが違うんじゃないかと思います。

 

まだ本の感想に至ってないですが、忘れないうちに原作感想へのリンクを貼っておきます。

この感想はアニメは3話まで見て、原作は8巻まで読んだタイミングから書き始めてアニメ5話が終わった時にアップロードしてます。

 

tanabeebanat.hatenablog.com

 

この時ほどじゃないけどこの感想文もそこそこ長くなると思います。すでに1000文字を越えました。万越えはしないと思う。たぶん。

感想を書くときに普段はいろいろ自分で制約を設けているんですがそれを取っ払って思ったことを素直に正直に書き進めていこうと思います。

 

この後同日発売だった原作10巻の感想も書く予定があるのであまり時間はかけたくない。けどたぶん時間はかかる。1時間じゃ無理かなぁ……

 

 

どうしても手に入れたかったんでポリシーを曲げてネットで買いました。立ち回り先の本屋が減ってるっていうのもあります。

おかげさまで発売日だった2022/9/24にちゃんと届きました。ありがたい話です。物流を担っている皆様には感謝しかありません。

公開されていた表紙を見て、きっと裏表紙はそういうことなんだろうなと思ったんですが、やっぱりそうでした。

 

表紙は素のまりんの前面と雫たんまりんの後ろ姿。裏表紙は雫たんまりんの前面と素のまりんの後ろ姿。

ファンブックにも収録されていますが、キービジュアルがけっこう印象的だったんでそれを踏襲してるなぁと思いました。

鏡の前の雫たんまりんと鏡の中の素のまりんっていう絵です。

アニメ見始める前にネットとかでこの絵を見てると思うんですが、その時は申し訳ないけど俺の心には何も響かなかったんですよね。何に今はこんなに響いてる。

物語を追ってしまうと絵の中にももしかしたら書いた人の意図を越える何かを感じてしまっているのかもしれません。

 

同じキャラクターがメイクや衣装で全然違う雰囲気を身にまとうっていうのを絵で表現するのって簡単なのでしょうか?そもそも絵が描けないからわからないんです。

そんな簡単なことではないんじゃないかなと想像だけはしています。

見た目の雰囲気は違ってるけど中身は同じキャラクターっていうことを見ている人に納得してもらわなきゃならないんですよね。

原作を読んでもそういう感想を持ちましたが、アニメでもそこは同じ感想を持っています。

まりんの場合はコスプレだけじゃなくて読者モデルのバイトっていうのもあって、それがまた雰囲気違いますからね。

絵のことはわからないのにこういう感想を持つ理由は、俺が思うにこのことがこの作品の根幹の一つとつながっていると感じているからです。

 

服装はもちろん、外見とか体形もある程度は変えることができる。

 

女性にとってリアルなのかどうかはわかんないですけど、その考え方がこの作品の根底に流れていると俺は思ってます。

モデルのバイトをこなしていたくらいなんでまりんにはその素養はもともとあったんでしょうけど、開花させたのは五条君なんだろうなと思ってます。

素直にこの作品を見ると、トラウマに縛られていた男の子がそのトラウマを無効化してくれる女の子と運命的な出会いをして物語が始まったということになりますが、そういう一方通行の単純な話ではないと思ってるんですよね。

初めて雫たんコスをしたときに衣装作りはもちろんメイクの勉強もして、写真を撮るときにはキャラクターの雰囲気を再現するように導いてという流れを見ると、まりんにとっても五条君は自分を導いてくれる運命の男の子だったんだろうなと思えます。

 

そのまりんが五条君に恋をした。

その瞬間の絵がもうたまらんです。

原作を初めて読んだとき背筋が寒くなったんです。Wikipediaとかでそうなるってことは知ってたのにぞくぞくっとね。

アニメではどうなるんだろうと楽しみ半分不安半分、あの場面は次の話でやるのかなとも思いながら5話を見ていたら、ラストに向かう流れで原作をさらに膨らませた動画ならでは表現をしやがった。

さすがに背筋が寒くなることは無かったですが、もし原作未読でアニメを先に見ていたらその夜は眠れなくなってたかもしれません。

 

なんか、この本の感想からはずれてきてますよね。

戻りましょうか……

 

こういうファンブックを買うこと自体は初めてでは無いので内容の想像はついてました。スタッフさんのインタビュー記事は楽しみではあったんだけど今はネットでも公開される時代なので、このタイミングでなければ公表できないこと以外は同じことを違う切り口でお話ししてるんだろうなと思ってました。

思ってましたが……

意外でしたね。

 

インタビューじゃなくて各話紹介での監督さんのコメントです。

まずは上にも書いたこの作品の始まりを告げる5話のシーンです。

監督さん、不安だったんだ。ほんとかなぁ。ほんとかどうかはともかく、何度も調整したということはやっぱりあの絵には力を入れてたんだなぁと。そこは納得です。

原作のあの絵を見た時になんで背筋が凍ったのか自分で考えてみたんですけど、もしかすると作者があの1コマに漫画家人生を賭ける勢いで全身全霊を傾けて書いたのかもしれないなぁなどとも思ったんです。

俺は書いた人の思いが伝わるみたいなことはあまり信じないんですが、細部までこだわることによって見た人に思いが伝わるみたいなことはあるのかもしれませんね。

あともう1か所、11話。ラブホ回。

あそこはね、俺、勝手にアニメが原作を越えたと思ったんですよ。原作ももちろん面白かったんですけど、テンポ感とか細かい演出がアニメの方が俺に合っててうわーって思った。

内容が内容だったんで夜中なのにテレビに対して「コラっ!」とか「おいっ!」とか突っ込んじゃいましたから。

ところが監督のコメントを見るとどうもご不満があるらしい。

もしかすると監督さんとしては不満なスピード感が俺にぴったり合ってたのか、あるいは監督さんがやりたかったことが完全に出来ていたらもっとすごいと俺も思っていたのか、それはもうわからないです。

テンポとか展開って人それぞれ好きなものが違うと思っているんで、この場面では監督さんと俺の好きなものが違ってて、監督さんにとっては納得いかないものがたまたま俺のツボに入ったってことなのかもしれませんね。

 

 

この本が発売される1週間前にアニメの続編が制作されるという発表がありました。

「続編」という表現なので、テレビの地上波やBSで2期が放送されることが確約されているわけではなく、劇場版とか単発のOVAかもしれないのですが……

この本のインタビュー記事で編集さんが「2期」って何度も書いてるというw

そして、2期で楽しみなシーンとして多くの人が文化祭を挙げてるというw

たしかにあそこはアニメで見たいけどね。

まりんってコスプレやメイク以外でもいろいろな表情を見せるじゃないですか。

リアルでもそうなんだけど表情豊かな子ってそれだけでかわいく見えちゃうんだよなぁ。

2期の範囲がどこまでになるのかわからないですが、1期では見せなかったまりんの表情も見ることができると思います。かわいいかったりきれいだったりするだけじゃなくて残念なのも……それがまたかわいいんだけどね。

そして、1期オープニングを思い出させるようなとっても残念なシーンもあるかもしれません。

前にも書いたけど着せ恋のオープニングアニメはすごいなと思ってます。勝手な感想なんですけどね。

5話までと6話以降で見え方が変わったんですよね。全く同じなのに登場人物の関係性が変わると見え方が変わるオープニングというのはあまり記憶にないです。

それはともかくとして、2期に入るかもしれない範囲の原作のとある話で、1期のオープニングのとあるさりげないシーンが思い起こされて……どうしてこうなったwと。

 

「バランス」って言葉がキーワードになったアニメが人気出ましたが、着せ恋はまさにバランスがいいアニメですな。

「ラブ」「コメ」「エモ」「エロ」。その4要素だけでもすごくバランスがいい。組み合わせも1パターンじゃなくていろいろ。「ラブ」と「エモ」、「コメ」と「エロ」が組み合わさることが多いですが、そうでないこともあり、それが展開の読めなさにつながってるんじゃないかと思います。

エロくないはずなのにやたらとエロいシーンや、逆にエロいはずなのに全くエロくない残念なシーンも2期で見ることができるかもしれません。

 

楽しみです。