小田急の「子供一律50円」施策について

公式発表(PDF)

 

ずいぶん思い切ったことを、とも思ったけどすごく理にかなった施策なのかもしれないなと。

考えた人は頭いいなぁと思います。

 

 

俺は今まで沿線住民ではなかったので子供のころ小田急を使うという局面を想像すると、沿線の親類のところに遊びに行くか、箱根、江の島、丹沢あたりへの行楽くらいです。

千代田線沿線住民だったけど、小学生の頃はまだ代々木上原どまりだったので新宿まで行って乗る感じでした。代々木上原で直通になって便利だなぁとは思ったけど逆に座れることは無くなったなぁと。座りたかったら新宿で乗ればいいわけなんですけど。

 

そういう行楽を企画する家族が、子供の電車賃は実質ただみたいなもんと思うとうっかり財布のひもを緩めてしまうということはあるでしょうね。

ただ、今回の施策はおそらくそういう需要喚起は副次的な効果としてしか考えてないでしょう。本線は沿線への子育て世代の流入を狙ってるんでしょうね。

それが可能になったのはやっぱり複々線化、そしてその後のコロナ騒ぎでしょう。

ラッシュ時間帯に小田急の上りに乗ることはあり得ないので体感はしてないですけど、めちゃくちゃ空いたんだろうな。小田急とか京王とかの場合は、上りだけじゃなくてラッシュ時間帯の下りも混んでるし、昼間も夕方、夜間も通勤の流れとは逆方向も混んでる。バブル期になぜか愛甲石田の仕事にアサインされて時々行ってたんですけど、代々木上原まで座れないこともままありました。ありえないよね。常磐線なら逆方向は空気輸送なのに。

それだけ沿線が成熟していて開発余地がないということなのかなとは思っていたんですが、いずこも同じ、人口構成が高齢化して今後は減っていくという見通しなのでしょう。若い世代を呼び込む=今後も使ってくれる人をある程度確保するという施策は本当に理にかなっていると思います。

俺の地元の松戸市でもなんとか子育て世代を呼び込もうといろいろやってて、それが功を奏してなのかそれともたまたまなのかわかんないけど、家の近くでは子供の姿が増えています。

それが可能になったのは、以前に比べれば殺人的な混雑からつらい混雑に代わって、コロナ以後はガラガラになった通勤電車っていうのも理由の一つなんだろうなぁとは思います。まぁ、松戸あたりは微妙なんですよね。家族で暮らすとなると車があったほうが便利になりますからねぇ。

若干不安なのは、沿線の自治体の反応ですね。みんな図体でかい。

コンパクトなのは狛江市と座間市以遠、都心側は世田谷区川崎市町田市相模原市と区域も広くて人口が多い自治体が並んでいます。

そしてそれぞれの自治体には複数の路線が走っています。

小田急の施策に合わせて自治体も何らかの施策を用意するというのがなかなかむつかしいんじゃないかなぁと推測しています。

そこは逆にTXの開業に頼って子育て世代を全力で取りに行ってる流山市あたりとはずいぶん状況が違うなと。

自治体との連動ができれば相当効果が出る施策なんだろうなと思うのですが。

もう一つ、まぁパイは小さいんだけど、多摩センターと永山から都心に移動する人のうち、家族に子供料金を使う人がいる人は、今まで第一選択肢が京王だった人も小田急に切り替えることはあるんじゃないでしょうかね。

ちゃんと計算したわけじゃないけど子供と一緒に出掛ける時は小田急の方が圧倒的に安いってことになったら、今までは京王の定期を持っていた人も小田急に切り替えたりすることもあるんじゃないかと思います。

 

この施策、一番気になるのはほかの鉄道事業者が追随するかということです。京王とか東急とか、沿線が成熟している鉄道事業者が追随するとか、JR相手に競争している京成あたりが仕掛けるとか……。

この先の行く末がとっても気になります。