みずほ銀行システム障害 誤解を招くのが目的かもしれないと思うような絶妙な見出し
この見出しすごいぜ!背筋凍ったもん。
んで、記事の中身を見てなーんだ、って思った。
ちょっとやったことある人ほど誤解するように巧みに仕組まれた秀逸すぎる見出しです。
データ移行って大変なんですよ。システムを切り替えるのにほとんどの場合必要になるんだけど、新旧をマッピングして計画を立てて新システムでの容量計算して移行アプリと手順を作って、死ぬほど準備とテストしてそれでも失敗した場合の計画を作って実際に失敗した場合のテストも死ぬほどやって、っていう感じです。
とあるところでとあるシステムの移行を一人で担当したことがあるっていう話をしたら、その道のエキスパートみたいな扱いを受けて別の現場でも移行担当にアサインされて「また死ぬのか……」と遠い目をしちゃったこともあります。一時期会社に住んる状態だったもんな。今みたいにブラック企業がどうしたみたいな話は出ない時代だったし。
需要はあっても売りにしたくないスキルの一つですね。
見出しからは、その失敗した時に元に戻す手順に失敗したというもうどうやっても回復不可能な破滅的な事象が想起されて背筋が凍ったわけです。
それでもなんとかして被害を最小限にするのが我々の仕事の一つでもあり、そういう時が一番輝く時でもあり仕事楽しいなと感じる時でもあるんですが、別に輝かなくてもずっと鈍いままも淡々と仕事をこなすんでもいい。
脳内で変な汁が出てるのが実感できますからね。まじで。
実際に中身の記事を読むと、想像だけどルーターのルーティングテーブルに不具合があって、バックアップ機のルーティングテーブルも同じだから(同じじゃなかったらバックアップじゃない)同じようにエラーが発生したってことなんじゃないかな。バックアップ機はロールバック用に変更前の設定にしていたけど自動的に上書かれちゃったとかかなぁ。
自宅や職場でPCをネットにつないでる人は意識しないだろうけど、システムで使ってるサーバーのIPアドレスなりその代わりになるアドレスは固定なのでしくじるとつながらないのは当たり前で、しくじるのはどの現場でもよくあること。
重要システムの切り替えをやったんだったらうまく行かなかったら元に戻す準備をするのは当たり前って思うでしょうけど、気が回らないこともあるんですよ。
こういうのって実際に痛い目に遭うとすっごく気になるんですよね。でもね、それでも漏れちゃうことがある。
いちおう言っときますけどこういう場合公式発表があってもそれが本当かどうかなんてわかんないですからね。一般人にわかりやすい説明なんてできない事象のことが多いですし、「こういう事が起こったってことにしておこう」と嘘にはならないぎりぎりのところを発表することだってありますし。それだけを論拠に批判すると中の人たちからは「偉そうなこと書いてたけど実は実務知らなかったのね」と生暖かい目で見つめられちゃうことになります。
前に見出しにも著作権はあるっていう話がありましたけど、著作「権」があるってことはちゃんと義務も負ってほしいなと思いますね。誤解を招く見出しの記事が多すぎるように思えてなりません。
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