読書感想文 山本巧次 『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』1~5巻

昨年1巻の感想を書きましたが今出ている5巻まで購入したのでもう一度感想を書きます。

 

store.tkj.jp

根本的な感想は前回友人に言われた「ライトノベル」っていうところに落ち着きました。

このライトノベルは10代男子向けとかオタク向けではなく20代から30代の女性を対象としたライトノベルだけど、それは男の妄想で実は俺がターゲットと思っている人たちは食指を伸ばさないような本なのかもしれないなとも思いました。

 

平成を生きるOLの主人公が江戸時代と行き来する方法を手に入れて、ひょんなことから事件に巻き込まれ、現代科学を使って事件の真相を看破する。すてきな男性にも巡り会いそれなりの蓄えもできるけれど自分が本来いるべき場所では困窮して自分を助けてくれる男性の支援を受けている始末というのがおおよそのあらすじです。

歴史に興味がほとんどない俺でも時代背景やこの時代にどういう人たちが生活していたのかなどおもしろく読めるってことは登場人物たちが生き生きと描写されているってことになるのでしょう。歴史好きならなるほどこれをこう使うかとかいやいやこれはこうじゃないとか突っ込みを入れたりしながら楽しめるんじゃないでしょうか。

 

20代から30代の女性を対象としたライトノベルと思った理由は前にも書いたけれど何の特徴もない主人公が異世界に飛ばされてヒーローになるというごく普通のライトノベルというか昔からあるファンタジーと同じ設定だからです。

リアルでは会社も辞めてふらふらしている特技も特徴もない(と思われていた)女性が、別の時代ではそこそこ有名人になり有名な画家に絵を描いてもらったり教科書に載っている人物と面会したりするってのはファンタジーでしょうね。それが影響したのか現代社会でもその才能の一端を見せ始めて、この後そういう方向でも話の展開はあるかもしれないです。

もう一つ忘れてはいけないのが、そのお相手もまた別の時代から飛ばされてきて、しかし彼には戻るすべが無いように思えるというところです。

二人は全く違う時代から江戸時代に飛ばされていますが、二人とも閉塞感が漂う時代からやってきて、江戸時代の方に自分の居場所を見つけて生き生きと生活しているように見えるのが非常におもしろいです。

男性からすると、その女性を見ていると自分がいた負けて廃墟となった国がその後復興し平和で科学が進んだ国になっているのを垣間見ることができるといった趣向になっていてそれがまたおもしろさの一端になっています。

 

今見たら6巻が出てるんですね。今日本屋にあったら買っておこう。

tkj.jp