本当に「名機」を乗り継いでる俺が「名機」について語り継いでみる。
珍しくネットニュースに食いついてみます。
この記事では国産エンジンのうち5形式について語っています。
おそろしいことにここに出ているエンジンのうち2.5形式について俺は「乗ったことがある」ではなく「所有したことがある」のです。所有するということはそれなりに長い時間を一緒に過ごしたことがあるということです。町中も高速道路も山道も、単なるドライブも買い物も友達の送り迎えも、いろいろな局面でいろいろな用途でそのエンジンを積んだ車と行動を共にしてきました。
語り継いでみようと思うのですが、実はずいぶん前に前のブログで語り継ぎ済みです。あえて過去ログあさらずに書いてみますが同じようなことを書くような気がします。
・三菱4G6型エンジン
2.5形式のうち0.5形式がこれです。
俺が持っていたのは4G63ではなく、その小型版の4G61です。10年乗りました。
4G63は当初は2リッタークラスだったギャランクラスに搭載されその下のクラスだったランサーには1.6リッターの4G61が搭載されていました。
最終的に4G63がランサーに搭載されエボリューションに発展していきますが最初は4G61が搭載されていたんですね。
このエンジン、たまらんかったです。
何がたまらなかったかというと高回転域の伸びがたまらなかった。
4G63、4G61の場合はターボチャージャー付きが語り継がれるのだろうなと思うのですが俺が乗っていたのはノンターボ。理由は簡単。安かったから。めっちゃ安かった。びっくりするくらい安かった。今の軽自動車より安かった。値引き入れると100万ちょいで買えちゃった。なのにエンジン回る回る。8000回転まで気持ちよく回る。
買ったときは正直あきらめだったんですよね。ターボチャージャー付きを買うような金はなくでもほしい。じゃしょうがないかということで買いました。
4G63、4G61型の一般向けエンジンのトルクカーブを見ると気味が悪いくらいの超フラットトルクであることがわかります。だからいくら回しやすいNAとはいっても高回転は期待していなかった。それが実際に回してみるとどうよ。強烈に回る。
かといって低速トルクがスカスカかというとそんなこともない。
FFだったので前加重が抜けやすくあんまりいいタイヤを履いてなかったってこともあって、信号からの発信で時々ホイールスピンかましてしまいました。まぁ運転が下手ってことなんですが下手でもパワーが無いとなかなかホイールスピンってしないもんです。
おそらくはこのエンジンは基本設計がいいんだろうなと思うんですよ。ハイパワーにするのも扱いやすくするのも思いのまま(エンジニアは大変だろうけど)。だから結局20世紀から21世紀にかけて生き残ることになったんじゃないかと思います。
ただこの4G6には少なくとも当時は致命的な弱点がありました。
それは……。タイミングベルトが切れやすいこと。
なぜか俺の周りには4G63型エンジンに乗ってる人がいたんですが、その人もやっぱり切りました。俺は首都高で切って死ぬかと思いました。
エンジンの特性上ハードに使うユーザーが多いというのはあるんですがタイミングベルトが切れるという致命的なトラブルはそれほど多くはないはずなので当時のこのエンジンの特性だったんだろうなと思っています。
・EJ20
言わずと知れた水平対向エンジンの名機。20年以上乗ってます。今日も乗ってきました。スーパーに買い物に行ってきました。
おそらくこのエンジンも基本設計がすばらしいんだろうと思う。俺が乗ってるのはターボチャージャーがついているとはいえすごくマイルドな仕上がりなんですよ。
かと思うとご存じの通り極端にパワーが出る設定にもできる。
いいエンジンっていうのはそういうエンジンなんだろうなと思います。
このエンジンの弱点はどこだろう。やっぱり今の時代でいうと燃費なんだろうな。町乗りだとリッター10Km走らないことが多いっていうのは許されないんでしょう。
あとは不満らしい不満がないところですね。かわいげがないというか。
なんか弱点があればそれをカバーしてあげるという楽しみが生まれるんですけどね。
スバルなんでAWDってこともあって怖いくらいに安定しています。
事故で全損食らった最初のフォレスターは右折や左折の時気を抜くと腰砕けになるのでそれがおもしろかったんですが今乗っている2代目フォレスターはその弱点が払拭されてて何の不満もない。
不満がないのが不満というものすごく贅沢な状態です。
だから20年も乗り続けちゃってるわけなんですよね。
・L型6気筒
このエンジンとはたったの1年しか一緒に過ごしていません。
しかし濃密な1年でした。
学生から社会人という人生の節目をこのエンジンを積んだ車とともに過ごしました。
俺が乗っていたのはL20ET。ターボチャージャー付きです。いわゆるじゃじゃ馬です。ものすごいじゃじゃ馬です。
小説とかで加速がすごいときにたまにシートベルトが食い込むとかいう誤った表現がありますが、シートベルトが食い込むのは急制動の時で急加速の時はシートバックに背中が押しつけられます。
交通量がほとんどない夜の都心の上り坂。お巡りさんの姿もちらほら見かける中ではありましたが低いギアで速度は出ないようにしてアクセルを踏み込む。
最初はとろとろつらそうに坂を上り始める車。タコメーターの針が2500から3000くらいになると……。あとは書けません。あの感覚をうまく言葉にすることは俺には難しい。俺自身の感覚ではよくいう脳がとろけるやつです。
ターボチャージャーが回り始めるとエンジンが豹変します。さらに低速ギアに入りづらい個体だったってこともあってきれいに発進させることすら難しかった。
直列6気筒を積んだ長い鼻は見切りも難しくて扱いにはものすごく苦労しました。楽な車になれた今ではもう運転できないかもしれません。
このエンジン、ターボチャージャー以外にももう一つ華がありました。
それは高回転域での音です。直列6気筒の音ってたまらんのですよ。たまらん!極端な高回転までまわるわけじゃないんですがそれでもたまらんです。
そして動きが目に見えてしまう燃料計w
すべてが規格外。今だったら欠陥車扱いされてもおかしくないです。
他の直6にも乗ってみたいなと思っていますが直6自体が海外メーカーも含めて絶滅危惧種になっているこの状況。そんな中マツダが直6を開発するというニュースには密かに心を踊らせています。
ほんとうに楽しかった。L20ETと過ごしてなければ今の俺とは違う俺になっていたんじゃないかと思うくらい楽しかった。
低速はすかすかでいわゆるドッカンターボ。でかくて重いエンジンと車。弱点をあげつらえばいくらでもありましたけどそれを越えて俺には代えがたい何かを与えてくれました。
そんな感じで語り継いでみましたが、そろそろさすがに車の買い換え時期。次に選ぶ車のエンジンはやはり名機として語り継がれるのか、それとも誰にも語られることなく地味に仕事をするのか、はたまた黒歴史として燦然と黒光りするのか。
楽しみでもあり残念でもあり。